「発注なしでも保管は無償」段ボール業界の商慣習に是正要請 公取委など3機関

2026年10月23日 06:04

今回のニュースのポイント

公正取引委員会、中小企業庁、経済産業省の3機関は2026年10月22日、全国段ボール工業組合連合会に対し、印版等を中小受託事業者に無償で保管させる商慣習の見直しを要請しました。背景には、王子コンテナーと日本トーカンパッケージの2社に対する勧告があり、長期間発注がない印版等計1万7,456個を無償保管させていた違反事例が判明。公取委などはこれが業界の商慣習になっているとみて、是正と継続的な見直しを求めています。

本文
 公正取引委員会、中小企業庁、経済産業省の行政3機関は2026年10月22日、全国段ボール工業組合連合会に対し、段ボール製品などの製造で用いられる印版や金型等を中小受託事業者に無償で保管させている商慣習の見直しを要請しました。直近1年間で大手製造販売業者2社による不当な無償保管行為に対して勧告を行ったことを受け、個別企業の違反にとどまらず、業界全体に残る不適正な取引慣行の是正と取引適正化を強く促した形です。

 公取委による勧告の対象となったのは、王子コンテナー株式会社と日本トーカンパッケージ株式会社の2社です。王子コンテナーは2026年10月22日、下請事業者140者に対し、長期間発注を行わない印版、木型、金型計9,610個の保管費用を負担せず無償で保管させていたとして勧告を受けました。また、日本トーカンパッケージも2026年3月13日、下請事業者132者に対して同様に計7,846個の印版、木型を無償保管させたとして勧告されています。2件の対象物品を単純合計すると延べ272者の下請事業者に対し、1万7,456個に上ります。

 段ボール製品や紙器製品の製造現場では、発注側である委託事業者が所有(またはその顧客が所有)する印版や木型を受注側の中小企業に貸与して製造を行わせる取引が広く行われています。しかし、今回の2件では、該当製品の発注が長期間行われないにもかかわらず、発注側が保管費用を負担せず、中小企業側が印版等を保管し続けていました。公取委は、発注がないにもかかわらず費用を負担せずに保管させる行為について、改正前の下請法第4条第2項第3号が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」に該当すると明確に判断しました。

 さらに、これら2件の調査では、印版等を中小受託事業者が無償で保管することが、業界の商慣習となっていることも確認されました。これを受け行政3機関は、業界団体である全国段ボール工業組合連合会に対し、問題点や過去の勧告事例を記載したリーフレットの周知、取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)の遵守促進、無償保管の商慣習自体の見直しと継続的なフォローアップの実施を要請しました。

 行政側が公表したリーフレットでは、印版や木型にとどまらず、金型、治具、検具、工具、機械設備なども無償保管を強いることが取適法違反になり得ると例示し、監視を強める姿勢を示しています。製品の発注が途絶えても保管コストだけが受注側に残り続けるという構造的な問題に対し、行政が業界全体へ是正を迫った格好です。今後は業界団体や会員企業において、長年続いた無償保管の慣行を解消し、適正な費用負担や保管ルールの見直しが実際にどこまで進むかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)