企業向けサービス価格3.7%上昇の内実 外航貨物輸送97.7%高、国際運輸除くと2.9%

2026年10月27日 10:35

コンテナ船と港湾クレーンのイメージ

コンテナ船と港湾クレーン。2026年9月の企業向けサービス価格指数では、外航貨物輸送が前年同月比97.7%上昇し、総平均の上昇率拡大に寄与した。(資料画像)

今回のニュースのポイント

2026年9月の企業向けサービス価格指数は総平均が前年同月比3.7%上昇したが、国際運輸を除くと2.9%上昇で前月と同じ伸び率だった。国際運輸全体は82.0%上昇し、外航貨物輸送は97.7%上昇。宿泊サービスは9.7%、リース・レンタルは11.7%上昇した一方、広告は5.2%下落した。人件費投入比率別では高人件費率サービスが2.6%、低人件費率サービスが4.8%上昇し、分野ごとの価格動向に差が見られた。

本文
 日本銀行が10月27日に公表した2026年9月の企業向けサービス価格指数(速報)は、総平均が前年同月比3.7%上昇となり、8月の3.5%(訂正値)から上昇率が0.2ポイント拡大しました。その一方で、国際運輸に分類される品目を除いた「総平均(除く国際運輸)」の上昇率は前年同月比2.9%と、8月(2.9%、訂正値)と全く同一の伸び率にとどまっています。総平均の上昇ペースが加速したように見える背景には、国内の広範なサービス価格が一律に上振れたわけではなく、特定の国際輸送分野における急激な価格高騰が存在します。

 指数の押し上げ要因として最も顕著な動きを示したのが国際運輸分野です。日銀の集計では、国際運輸全体が前年同月比82.0%上昇(8月は63.8%)と大幅に伸長し、その中核を占める外航貨物輸送は前年同月比97.7%上昇(8月は74.6%)と約2倍の水準へ急伸しました。外航貨物輸送による総平均の前年比上昇率の前月差(0.2ポイント拡大)に対する寄与度はプラス0.20ポイントに達しています。国際運輸のウエイトは総平均1,000のうち7.5(0.75%相当)と限られた比重にとどまるものの、個別の価格上昇幅が極めて大きかったため、総平均全体を顕著に押し上げる主因となりました。

 国内の事業活動に関わるサービス価格に目を向けると、分野ごとの価格動向にはばらつきが見られます。大類別「諸サービス」に含まれる宿泊サービスは、8月の前年同月比1.6%上昇から9月は9.7%上昇へと伸び率が急拡大し、前年比上昇率の前月差に対して0.14ポイントのプラス寄与となりました。また、「リース・レンタル」も前年同月比11.7%の上昇を記録し、そのうちリース単独では17.1%上昇(8月は16.2%)と高い伸びが続いています。設備利用や移動・滞在に関わる企業間取引では、価格の上昇基調を維持する項目が確認されます。

 その一方で、価格の下落基調を強めているのが広告分野です。広告全体の前年同月比は5.2%下落となり、8月の0.8%下落(訂正値)からマイナス幅が大幅に拡大しました。総平均の前年比上昇率の前月差に対する寄与度もマイナス0.19ポイントとなり、全体の伸びを強く抑制する方向に作用しています。内訳をみると、テレビ・ラジオ広告が前年同月比11.7%下落(8月は7.0%下落)と2桁のマイナスとなったほか、インターネット・新聞・雑誌・その他の広告も1.0%下落(8月は3.0%上昇)に転じました。なお、これらは取引価格指数の推移であり、企業の広告出稿総額を示すものではありません。

 さらに、日銀が公表している人件費投入比率別の参考指数を分析すると、サービス産業内部の構造的な差異が浮き彫りとなります。総コストに占める人件費の比率が高い「高人件費率サービス」の前年同月比は2.6%上昇(8月は2.7%)にとどまったのに対し、人件費比率が相対的に低い「低人件費率サービス」は4.8%上昇(8月は4.4%)と高い伸びを示しました。人件費投入比率の高低とサービス価格の上昇率は必ずしも一致していません。ただし、この参考指数だけで賃金上昇分の価格転嫁状況や、価格変動の具体的な要因を判断することはできません。

 9月の企業向けサービス価格指数は、外航貨物輸送の突出した高騰が総平均を押し上げる一方で、国際運輸を除いたベースでは前月並みの推移を保ち、広告の下落や人件費投入比率による騰落のばらつきが同居する結果となりました。総平均3.7%という単一の数値のみでサービス価格全体の基調を捉えることは難しく、国際運輸の大幅な価格変動と、上昇・下落が分かれる各サービス分野の動きを区別して捉える必要があります。今後も外航貨物の動向とともに、国内サービス各分野の価格改定の広がりを注視する必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)