独Polariseと米WWT、オスロで5MWのAI計算基盤整備 液冷方式で欧州のデータ主権に対応

2026年10月27日 12:01

AIデータセンター

AIデータセンターのサーバーラックと冷却設備。独Polariseと米WWTは、ノルウェー・オスロで液冷方式を採用した5MWのAI計算基盤を整備する計画を進めている。(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

ドイツのPolariseと米国のWorld Wide Technology(WWT)は、欧州のソブリンAI基盤の整備に向けて協業する。最初の共同案件はノルウェー・オスロのAIデータセンターで、5MWの計算能力向け容量を計画。液冷方式を採用し、NVIDIAの高速計算技術を活用する。Polariseは施設や冷却設備などの保有・運営を担い、WWTはシステム統合を担当する。投資額や稼働開始日は公表されておらず、今後の整備進捗が注目される。

本文
 米国のITソリューションプロバイダーであるWorld Wide Technology(WWT)は10月21日、データセンター事業を手がけるドイツのPolarise(ポラライズ)と協業し、欧州におけるソブリンAI(データ主権を確保したAI)インフラの構築を進めると発表しました。両社による共同展開の第1弾として、ノルウェーの首都オスロにおいてAI向けデータセンターの整備を推進します。WWTの発表によると、同施設では5MW(5,000kW)の計算能力向け容量(compute capacity)を確保する計画となっています。

 オスロで計画されているAI計算拠点は、高密度の計算処理に対応するため液冷(リキッドクーリング)方式を採用し、米NVIDIA(エヌビディア)の高速計算技術を活用する設計が進められています。オスロの共同案件はすでに進行中ですが、施設の完成や商用稼働の開始は発表されていません。また、採用されるGPUの具体的な型番や導入台数、施設全体の受電契約容量や年間消費電力量などの詳細な数値は公表されていません。

 今回のプロジェクトにおける両社の役割分担では、Polariseがデータセンター建屋、冷却システム、物理インフラ、運用ソフトウェアの保有および施設運営全般を担います。一方のWWTはシステムインテグレーターとして参画し、AI計算基盤を構成するITシステムの構築・統合を支援します。データセンターの施設運営に強みを持つ企業と、大規模ITシステムの統合構築ノウハウを持つ企業が連携することで、先端的なAIインフラの円滑な供給を図る枠組みです。

 両社が主眼に置くソブリンAI基盤の整備は、AIモデルの開発やデータ処理を自地域内の管理下で行い、地域の法令やデータ主権の基準に適合させることを目的としています。欧州では自律的なデジタルインフラへの需要が高まっており、欧州域内での計算基盤確保が重要視されています。なお、拠点が置かれるノルウェーは欧州経済領域(EEA)の一員ですが、欧州連合(EU)加盟国ではないため、EU域内インフラとの混同を避けた正確な地理的・制度的把握が求められます。

 Polariseはドイツ・ミュンヘンでもIndustrial AI Cloudプロジェクトに関連する大規模AIクラスターを展開しており、オスロを起点に欧州での事業展開を広げる方針です。両社は欧州各地で追加のAIインフラ整備を順次支援していく方針を打ち出していますが、現時点で確定している共同案件はオスロの5MW施設であり、将来的な追加拠点の具体的な候補都市や計画規模、投資金額、着工スケジュールなどは公表されていません。

 今回の発表によって、オスロにおける5MWの計算能力向け容量の計画や液冷方式の導入、両社の分業体制が明らかになりました。一方で、施設の総投資額や正式な商用運転の開始時期、NVIDIA製機器の調達規模などは公表資料では確認されていません。今後は、オスロ施設の整備・稼働に向けた進捗と、欧州各地での追加案件の具体化が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)