GMO関連のFX不正取引、5社で顧客被害報告 金融庁が全業者に監視強化を要請

2026年10月28日 12:18

金融トレーディングデスクイメージ

外国為替取引のチャートなどを表示したモニター。GMOインターネットの外部サービスへの不正アクセスに関連し、FX業者5社から顧客の不正取引被害が報告された(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

片山財務大臣兼金融担当大臣は10月27日、GMOインターネット関連と考えられるFX不正取引について、5社から顧客被害の報告を受けていると明らかにしました。金融庁は金融先物取引業協会を通じ、全FX業者にパスワード変更の注意喚起や取引監視強化を要請しています。各社は対象口座の取引制限や認証強化などを進めており、GMO側は損失補償の方針を公表しています。会見時点で新たな不正取引の報告はなく、被害件数や売買額は非公表です。

本文
 片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融担当)は2026年10月27日の閣議後記者会見において、GMOインターネットのレンタルサーバーに対するサイバー攻撃に関連した外国為替証拠金取引(FX)の不正取引について、国内のFX業者5社から顧客被害の報告を受けていると明らかにしました。被害が報告されたのは、ゴールデンウェイ・ジャパン、OANDA証券、アヴァトレード・ジャパン、外為ファイネスト、デューカスコピー・ジャパンの5社です。金融庁は会見前週の木曜日に一般社団法人金融先物取引業協会を通じて国内の全FX業者に対し、顧客へのパスワード変更の注意喚起や取引監視の強化などを要請し、業界全体で警戒水準を引き上げています。

 本件は、FX取引で自動売買ツール(EA)などを利用する一部の個人投資家が契約していたGMOインターネットの仮想専用サーバー(VPS)「お名前.com デスクトップクラウド」において、利用者情報が不正に閲覧されたことが発端とされています。今回の事案は、FX業者の取引システムへの侵入ではなく、外部のレンタルサーバーで利用者情報が不正に閲覧されたことに端を発すると説明されています。外部サービスで扱われる認証情報の悪用が、金融取引口座での不正取引に波及した形です。

 金融庁は事態の拡大を防ぐため、金融先物取引業協会を通じて全FX業者に対し、顧客へのパスワード変更の注意喚起や身に覚えのない取引の確認、取引モニタリングの強化などを要請しました。被害報告があった5社は、GMOインターネット側から提供されたサーバーの利用者情報を基に、対象顧客の取引一時停止、攻撃元とみられる海外からの不正注文の遮断、パスワードの初期化といった緊急措置を実施しています。片山大臣は会見時点で「不正取引が新たに発生しているとの報告は受けていない」と述べ、一定の抑止効果が出ているとの認識を示しました。ただし、攻撃手法の巧妙化を踏まえ、金融庁は引き続き緊張感を持って監視を継続する方針です。

 顧客被害の報告を受けた各FX業者も、独自の保護措置を順次公表しています。ゴールデンウェイ・ジャパンは取引口座の保護や海外アクセスの制限方針に加え、10月27日付の告知で対象口座への取引停止措置を講じる可能性やワンタイムパスワードを設定する場合がある旨を案内しました。OANDA証券は自社の管理システム自体への不正アクセスや情報漏えいは確認されていないと説明した上で、GMO側による損害補償方針の案内を進めています。アヴァトレード・ジャパンは10月26日にも注意喚起と緊急措置の続報を出し、パスワード変更による既存セッションの強制切断や将来のパスキー認証導入方針を示しつつ、対象口座の新規注文停止と決済機能の維持を継続しています。外為ファイネストは不正が疑われる口座の利用制限やワンタイムパスワードの設定要請、出金スケジュールの変更を実施しました。デューカスコピー・ジャパンも不正取引の発生を公表し、影響調査とともに口座利用制限や追加確認措置の検討を進めています。

 今回の不正取引に伴う顧客の金銭的損失について、片山大臣はGMOインターネット側から補償が行われる旨の公表がなされていると説明しました。OANDA証券も顧客に対してGMO側の補償方針を案内しています。ただし、補償方針の公表は、対象となるすべての顧客への補償が完了したことを意味しません。また、会見で記者団から問われた5社の具体的な取引件数や売買総額について、大臣は非公表であると回答しました。個別の被害実態や金銭的影響の全容は現時点で明らかになっておらず、業界内での調査と確認作業が続けられています。

 今回の事案は、金融機関自体のセキュリティが保たれていても、顧客が利用する外部クラウドサービスや自動売買の運用環境が侵害されれば、資産の不正売買につながるという現代的なサイバーリスクを浮き彫りにしました。片山大臣は、前日に開催されたサイバーセキュリティに関する関係閣僚会議において、首相から翌週中を目途に政府の緊急対策パッケージを取りまとめるよう指示があったと述べ、金融庁としても早急に検討を行っていると明らかにしました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)