ルネサス、家電向け省電力マイコンを量産開始 動作電流ほぼ半減、部品コスト削減へ

2026年10月28日 12:47

家電イメージ

エアコンや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品。ルネサスは家電のシステム制御向けに省電力マイコン『RL78/G21』の量産を開始した(イメージ画像)

今回のニュースのポイント

ルネサスエレクトロニクスは10月28日、スマート家電向け16ビットマイコン「RL78/G21」を発売し、量産を開始したと発表しました。動作電流は34μA/MHzで、従来のRL78/G13と比べてほぼ半減しています。外付け部品の削減や既存製品との互換性により、家電メーカーの部品コストや設計負担の抑制を支援します。併せて、タッチ入力機能を強化した「RL78/G23」のラインアップも拡充しました。

本文
 ルネサスエレクトロニクスは2026年10月28日、スマート家電のシステム制御向けに設計された超低消費電力の16ビットマイクロコントローラ(マイコン)「RL78/G21」を発売し、同日より量産を開始したと発表しました。新製品の動作電流は34μA/MHzに抑えられており、従来の標準品である「RL78/G13」との比較において動作電流をほぼ半減させました。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどのスマート家電を主な用途として想定しており、機器の制御部分における低消費電力化を支援する製品として展開します。

 家電製品の高度化に伴い制御回路への低消費電力要求が高まる中、ルネサスは、マイコン自体の動作電流を低減することで、電源回路の小型化などに貢献すると説明しています。また、RL78/G21は誤差±1.0%の高精度な高速オンチップオシレータ(HOCO)や、4KBのデータフラッシュといった周辺機能を内蔵しています。これにより、従来は基板上に外付けしていた発振器やEEPROM(不揮発性メモリ)を不要とする設計が可能となり、家電メーカーにおける部品表(BOM)ベースの部品調達コストの抑制や実装面積の縮小を後押しします。ただし、これはマイコン単体の動作電流削減や設計合理化の効果であり、家電製品全体の総消費電力が半減することを意味するものではありません。

 新製品は、既存の「RL78/G13」や「RL78/G23」とのピン互換性および機能互換性を備えており、家電メーカーが既存の基板設計やソフトウェア資産を活用し、設計変更の負担を抑えながら新マイコンへ移行できるよう配慮されています。また、各種センサや通信モジュールとの接続を容易にするUARTAインタフェースを搭載したほか、静電気放電に対しては人体モデル(HBM)で±4kVの高いESD耐性を確保しました。さらに、不正アクセスを防ぐフラッシュ読み出し保護や固有ID機能などのセキュリティ対策、家電の安全性規格であるIEC60730対応の自己診断ライブラリを提供することで、製品の信頼性向上と開発期間の短縮を支援します。

 ルネサスは今回の新製品投入に合わせ、既存の16ビットマイコン「RL78/G23」についても、操作パネル向けの静電容量式タッチセンシング機能を強化した新たな製品ラインアップを追加しました。従来の「R7F100G」と比較し、44ピン品ではタッチチャネル数を従来の14から24へ、48ピン品では16から25へと大幅に拡張しています。これにより、家電機器の主制御と複雑化するタッチパネル操作などのユーザーインタフェース(HMI)機能を別々のチップに分けることなく、単一のマイコンへ統合することが可能になります。

 RL78/G21の参考価格は、1万個一括購入時の想定単価として、フラッシュメモリ容量128KBの44ピンLQFPパッケージ品が1個あたり0.56米ドルから、256KBの44ピン品が0.77米ドルからに設定されています。世界的な省エネ基準の厳格化や原材料コストの上昇が続く中、ルネサスは低消費電力性能、外付け部品削減によるコスト競争力、既存資産を継承できる開発効率の高さを武器に、家電メーカーの制御基板刷新需要を取り込む方針です。なお、今回の発表において、具体的な採用メーカー名や初年度の販売・受注目標数量などは公表されていません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)