米、石油生産・精製・物流を国防上の重要基盤に認定 国防生産法で政府支援へ

2026年10月29日 12:12

アメリカ

米国旗。トランプ米大統領は石油生産・精製・物流能力を国防上不可欠と認定し、国防生産法に基づく政府支援を進める大統領決定を行いました。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

トランプ米大統領は10月22日付の大統領決定で、米国内の石油生産・精製・物流能力を国防上不可欠な産業基盤に認定し、10月28日の連邦官報で公表されました。国防生産法(DPA)第303条に基づき、政府による購入や金融支援などを通じた生産能力拡大を国防当局に指示するとともに、通常の法定要件の一部を免除する特例措置を適用しました。具体的な支援予算額や対象事業は現段階で示されていません。

本文
 トランプ米大統領は2026年10月22日、1950年国防生産法(DPA)第303条に基づき、米国内の石油生産、精製、物流能力を米国の国防に不可欠な産業基盤と認定する大統領決定(Presidential Determination No. 2027–01)に署名しました。この決定文書は、2026年10月28日付の米連邦官報に掲載され、正式に公表されました。

 大統領決定が対象とする産業基盤は、石油の探鉱・生産にとどまらず、原油や石油製品の集荷・輸送パイプライン、貯蔵施設、海上ターミナル、そして石油精製能力に至るまで、サプライチェーン全体を網羅しています。文書では、石油が米軍の活動のみならず国内の産業基盤や重要インフラを支えていると指摘し、その供給体制の維持・強化が国防準備態勢の中核をなすと位置づけています。

 今回の決定において政府は、民間企業だけの力では必要な供給能力を適時に確保できないと判断しました。その背景として、民間における資金調達の制約をはじめ、設備投資に伴う長い準備期間、許認可手続きや既存インフラの障害、サプライチェーン上のボトルネックなどを列挙しています。連邦政府による直接的な関与がなければ、将来的な供給制約によって国防能力が損なわれる恐れがあるとの見解を示しました。

 支援の具体策としては、DPA第303条が定める政府による製品の購入、将来の購入約束、生産能力整備に対する金融支援などの手段を活用する方針を提示しています。大統領は国防長官(原文表記:Secretary of War)に対し、必要な購入や購入約束、金融手段などを実施するよう指示しました。ただし、今回の文書には支援予算の総額や、特定の製油所、個別パイプライン計画などの対象事業は明記されていません。

 注目されるのは、手続きの迅速化に向けた法定要件の免除措置です。大統領は2025年1月20日に発令した大統領令14156号「国家エネルギー非常事態宣言」を根拠に、DPA第303条(a)(7)の規定を適用し、同条(a)(1)から(a)(6)に定められた通常の法定要件を免除しました。これにより、平時における一定の事前手続きや制限を緩和して支援を実行できる枠組みを整えました。なお、この免除は同条の特定要件を対象とするものであり、環境規制などすべての法令が免除されたわけではありません。

 米国では2026年4月にも大型エネルギー関連インフラを対象とするDPA第303条に基づく別の大統領決定が行われています。今回の決定は、石油生産・精製・物流能力を具体的な対象として位置づけたものです。

 今回の決定は、米国の石油関連産業に対する包括的な政府支援を可能にする法的な枠組みを整えたものです。今後、国防当局がどのような予算規模で具体的な購入契約や金融支援を実施していくのか、その執行段階の動きが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)