【日経平均】終値141円高と反発して昨年来高値を更新

2013年03月14日 20:13

 NYダウは2月の小売売上高が予想を上回る上昇率だったのを材料に5ドル高で9連騰。しかし2ドル、5ドルと上げ幅も小さくなって過熱警戒感もひろがっているようだ。14日朝方の為替レートはドル円が96円近辺、ユーロ円が124円半ばで、前日夕方と比べてドルは少し円安に。それを受けて日経平均は92.50円高の12332.16円で始まった。しかし前場は為替がやや円高に傾いてじりじり下げ続け、TOPIXがマイナスの「NTねじれ現象」も発生した。後場はドル円が再び円安方向に戻ったので持ち直して12300円台を回復。大引けにかけて上げ足を速めて12400円寸前まで上昇し、終値は141.53円高の12381.19円と3日ぶりに反発し昨年来高値を更新した。TOPIXは+6.75の1038.17。売買代金は2兆円を超えたが、売買高は2日続けて30億株を割り込んだ。
 
 不動産、倉庫、証券、サービス、ゴム、金属製品などの業種が大きく上昇し、鉄鋼、鉱業、石油、その他製品、食品、保険などの業種が大きく下落した。
 
 11日から下げ続けたファーストリテイリング は4日ぶりに反発し750円高で日経平均を30円押し上げた。逆に政府保有株の売出し、自社株買い、MSCIのリバランスなど何かと話題の中心だったJT<2914>は、大引けでTOPIXのリバランス買いが入る日でありながらなぜか75円安。それでも売買代金は1位になっていた。
 
 騰落率1位の不動産は、大手の三井不動産<8801>が140円高、住友不動産<8830>が135円高と反発し、三菱地所<8802>も130円高と上昇した。東証REIT指数は今週4日続伸しており、不動産投資ファンド運用会社のケネディックス<4321>は値上がり率4位、売買代金6位にランクインした。倉庫株は相変わらずの人気で、28円高で昨年来高値を更新したケイヒン<9312>が値上がり率7位に入り、同じく含み資産銘柄と目される百貨店も三越伊勢丹HD<3099>が46円高でこれも昨年来高値を更新した。東京都競馬<9672>が売買高6位で連日のランキング入りで、東京ドーム<9681>が54円高で値上がり率9位に入った他、東京楽天地<8842>は1月期決算の経常利益が17%増が好感されて24円高で昨年来高値を更新と、社名に「東京」がつく含み資産関連銘柄が好調な一日だった。
 
 金融関連は小幅高だったが、輸出関連株は200円高の信越化学<4063>、240円高の村田製作所<6981>、30円高の太陽誘電<6976>、19円高の第一三共<4568>あたりは昨年来高値を更新して好調。トヨタ<7203>は40円高、ニコン<7731>は88円高だった。マレーシアで1700億円規模のLNGプラント増設工事の受注に成功した日揮<1963>は36円高、同じプラント建設大手の千代田化工<6366>は3月期決算で営業利益7割増と報じられて18円高。しかし、中国については上海市場は6日ぶりに反発しても+2ポイントと戻りが鈍く、香港ハンセン指数のほうは4日続落で、コマツ<6301>、日立建機<6305>は続落し、三菱商事<8058>、三井物産<8031>など商社株もマイナスになっていた。
 
 三村明夫相談役が次期日商会頭に内定した新日鐵住金<5401>は前日に新中期経営計画を発表したが7円安で、投資家の評価は今ひとつか? 組合員の報酬カットを打ち出したパナソニック<6752>はベアやボーナス満額回答のニュースが続いただけによけいに目立ち6円安、シャープ<6753>は1円安、ソニー<6758>は3円高だった。任天堂<7974>は「3DS」が特許侵害だとしてアメリカの連邦地裁陪審から3020万ドルの賠償を命じる評決を受け、300円安と売られた。
 
 安倍首相は15日にTPP交渉参加表明を行う見通しで農業関連銘柄が再び人気を集め、井関農機<6310>が28円高で売買高9位と買われ、クボタ<6326>も33円高でともに昨年来高値を更新。協同飼料<2052>、日本配合飼料<2056>も買いを集めた。
 
 一方、三井ハイテック<6966>は1月期決算では経常利益増だったが今期は16%経常減益の見通しで61円の大幅安になり値下がり率ランキング2位に。同4位には日本海洋掘削<1606>、同6位には三井海洋開発<6269>が入り、8日後場に突然、火がついて燃え続けたメタンハイドレート人気もそろそろ下火か。セイコーエプソン<6724>は3月期決算で最終赤字を計上し期末配当を6円減配するのが嫌気されて42円安だった。
 
 この日の主役は「ライオンズマンション」の大京<8840>。今週は「サーパスマンション」の穴吹工務店の子会社化で買われたのに続き、不動産人気、含み資産銘柄人気もからんで5日続伸して61円の大幅高。値上がり率3位になり、売買高2位、売買代金5位と買いを集めた。マンション分譲も手がける東京建物<8804>は58円高、その関連会社の東京建物不動産販売<3225>は値上がり率8位の57円高、明和地所<8869>は25円高、タカラレーベン<8897>は100円高でいずれも昨年来高値を更新し、長谷工<1808>も4円高で売買高10位に入った。このごろ新築マンションのモデルルームは大盛況。住宅取得優遇税制や相続税の生前贈与の非課税措置に加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要、住宅ローンの金利先高感、地価先高感、さらに3月になって大企業のベアやボーナスの増額が相次いで住宅ローン返済への不安が後退していることも追い風になっている。16日に東急東横線と地下鉄副都心線、東武東上線、西武池袋線の相互直通運転が始まるのも各沿線のマンション人気をあおっている。(編集担当:寺尾淳)