今週の振り返り 588円上昇でリーマンショック前の水準に

2013年03月09日 19:57

 日経平均「破竹の7連勝」でも取引システムのトラブルありTOPIXがマイナスの日もあり

 前週末3月1日のNYダウは景気指標が良くて35ドル高。史上最高値まであと71ドル。日本時間で2日午後にアメリカで強制歳出削減が発動し国防費などがカットされた。問題解決の見通しがつかないままドル高円安が進行し、4日朝方の為替レートはドル円は93円半ば、ユーロ円は122円近辺と、どちらも1日夕方から1円以上の円安進行。すでに1日にシカゴCME先物で記録していた11700円台に乗せるかどうかが焦点の日経平均は89.07円高の11695.45円で始まり、すぐ11700円台に乗せた。

 TOPIXのほうは始値で990を突破し、2010年4月以来の1000の大台乗せが視野に入った、と思う間もなく午前9時50分過ぎに早々とタッチ。日経平均も11750円を超えていた。その背景は9時30分から衆議院議院運営委員会で始まった次期日銀総裁に内定した黒田東彦氏への「所信聴取」で、「2%の物価目標の早期実現が重要な使命」「目標は達成可能だが今の日銀の政策ではまだ不十分」「デフレ脱却に向けてやれることは何でもやる」など市場の受けがいい〃黒田節〃を次々と披露。「悪い金利上昇にならないためには政府の財政健全化も重要」と、安倍内閣への注文も忘れなかった。

 ところが好事魔多し。午前11時過ぎから上げ幅は急速に縮小した。中国政府の不動産規制強化を嫌気した上海市場の大幅下落も一因だったが、それ以上に大証のシステムにトラブルが発生し、日経平均オプション、日経平均先物の取引が停止したのが大きく影響した。復旧は午後2時10分まで長引き、その間、東証、大証の現物株は売買できたが日経平均は11613円まで下落した。再開後は値を戻し、終値は45.91円高の11652.29円で3日続伸となった。TOPIXは+7.92の992.25で昨年来高値を更新したが、1000突破は一炊の夢。こんな日でも売買高は31億株で売買代金は2兆円を突破していた。

 買われた業種は倉庫、陸運、不動産、その他金融、ゴム、サービス、証券と内需系が主体だった。売られた業種は鉱業、鉄鋼、海運、非鉄金属、精密、石油などだった。

 5日朝方の為替レートはドル円は93円台半ば、ユーロ円は121円台後半で、前日とあまり変わらない水準だった。NYダウは38ドル高の14127ドルで史上最高値に接近中。日経平均は80.28円高の11732.57円で始まり、すぐ11750円にもタッチ。午前10時台には衆議院議院運営委員会で日銀副総裁内定者の学習院大学教授の岩田規久男氏、日銀理事の中曽宏氏の「所信聴取」が始まり、FRB流の量的緩和が持論の岩田氏は「今まで以上の量的緩和を進める」「物価目標の達成は日銀が全面的に責任を負う」「2%の物価目標を2年以内に達成できなければ私はやめる」と見得を切り、日銀きっての国際派の中曽氏も「デフレ脱却のまたとないチャンス」と、黒田氏、岩田氏をフォローする姿勢を見せた。これを市場が喜ばないはずはなく、為替は円安が進行し、日経平均は取引時間中では4年5ヵ月ぶりの高値11779円、TOPIXは1000タッチまで上昇した。

 しかし、後場は一転して11700円を割り込み、日経平均がプラスでもTOPIXがマイナスの状態が延々と続く。材料出尽くしに加え、為替が少し円高に振れドル円が92円台になったこと、長期国債の入札が不調で債券先物が下落し金利が上昇したことなども影響したようだ。終値は日経平均が31.16円高の11683.45円、TOPIXが-3.63の988.62と、「NTねじれ現象」は大引けまで続いた。その理由は日経平均がファーストリテイリング の終値+1400円、日経平均寄与度+56円の大幅高に引っ張られてプラスでも、TOPIXは値下がり銘柄数815が値上がり銘柄数738を上回り、時価総額の大きい大型株主体に下落してマイナスになったこと。ファーストリテイリングは前日に発表されたユニクロ国内店舗の既存店売上高が+9.6%で2ヵ月ぶり増収という材料があったとはいえ、8日のメジャーSQを前に日経平均をマイナスにしたくないという市場の意思も感じられた。売買高は30億株だったが、売買代金は2兆円を割り込んでいる。

 騰落率プラス上位は鉱業、水産・農林、精密、空運、卸売、小売、電機など。騰落率マイナス下位はパルプ・紙、保険、不動産、鉄鋼、倉庫、海運などだった。