【日経平均】34円安で9日ぶり反落でも12300円台

2013年03月12日 20:48

 NYダウは50ドル高で史上最高値を5日連続で更新。12日朝方の為替レートはドル円が96円台半ば、ユーロ円が125円台後半で前日よりも円安が進行。日経平均は84.55円高の12433.60円と12400円台に乗せて始まった。しかし前場は次第に上げ幅を圧縮。後場は一段安となり、前日比マイナスとプラスの間で3往復した後、4回目のマイナスから回復できずに安値引け。終値は34.24円安の12314.81円で連騰は8でストップしたが、12300円台は維持した。TOPIXは-4.08の1035.90だった。売買高は42億株、売買代金は2兆8189億円と商いは高水準。後場に少し円高に戻して高値警戒感による利益確定売りに押されたが、前日から米韓合同軍事演習に北朝鮮が猛反発したことによる「地政学的リスク」の影響もささやかれている。

 値下がり銘柄数が1000を超え、上昇は鉄鋼、鉱業、卸売業、情報・通信業、電気機器、医薬品の6業種のみ。下落幅が大きい業種は証券、倉庫、石油、パルプ・紙、電気・ガス、銀行などだった。

 業種別騰落率1位の鉄鋼は、新日鐵住金<5401>が君津製鉄所の高炉1基の休止を検討と伝えられ、合理化効果を見込まれて11円高で売買高3位、JFEHD<5411>も連れ高して21円高だった。 電機・ハイテク株もおおむね好調で、パナソニック<6752>が31円高で売買高9位と買われた他、3ケタ上昇した京セラ<6971>、TDK<6762>、東京エレクトロン<8035>や、松野晴夫社長が「2014年3月期は受注が2割増」と見通しを語ったアドバンテスト<6857>、キヤノン<7751>などが日経平均を下支えした。100円高の日本電産<6594>も一時240円高まで買われる場面があった。しかしソニー<6758>は30円安とふるわず、シャープ<6753>は7円安と続落している。

 自動車ではトヨタ<7203>が40円安、ホンダ<7267>が25円安でも三菱自動車<7211>が4円高で売買高5位と買われ、通信ではKDDI<9433>が20円安でもソフトバンク<9984>が50円高。医薬品では塩野義製薬<4507>が46円安、アステラス製薬<4503>が40円安でも中外製薬<4519>が23円高、エーザイ<4523>が15円高で、小売ではファーストリテイリング<9983>が続落して700円安、セブン&アイHD<3382>が13円安でもイオン<8267>が27円高。不動産では三菱地所<8802>が62円安、住友不動産<8830>が25円安でも三井不動産<8801>が20円高というように、同じ業種でも明暗が分かれたのがこの日の特徴。業種内で出遅れている銘柄を物色する動きになっていた。それでも銀行・証券はおしなべて悪く、メガバンクはりそなHD<8308>も含めて4銘柄全て下落し、野村HD<8604>も5円安だった。

 JT<2914>は、前日に財務省が約2.5億株を2949円で売り出すと発表。売買代金3位に入るがプラス圏には浮上できず20円安だった。政府はJTが自社株買いした分と合わせて9734億円を手にし、全額を震災復興財源にあてる予定。経済産業省の「調達価格等算定委員会」が前日、2013年度の太陽光発電の買取価格を42円から38円に引き下げる案を示し、太陽光発電関連で活発に買われてきたサニックス<4651>は前場マイナスになったが後場に持ち直し4円高。正社員の賃金を2.31%アップし、パート・アルバイトの賃金も一緒に引き上げると発表したニトリHD<9843>はコスト増を嫌気されたか170円安。2月期決算が営業最高益と報じられた良品計画<7453>も、利益確定売りに押されて150円安だった。「サーパスマンション」の穴吹工務店を子会社化する大京<8840>は昨年来高値を更新して13円高と買われていた。

 この日の主役は「ストップ高」銘柄。愛知県・渥美半島沖で午前、世界で初めてメタンハイドレートから天然ガスを取り出したというニュースが入り、日本海洋掘削<1606>は1000円高でストップ高比例配分になり値上がり率4位。三井海洋開発<6269>は売買代金6位と買いが集中し一時ストップ高の215円高で値上がり率11位になった。値上がり率ランキング1位のモリテックス<7714>、3位のベリサーブ<3724>、7位の日本工営<1954>もストップ高。最近は売買高が大きく増えて値幅制限いっぱいまで買われるストップ高が多くなったが、2009年2月にフィスコ<3807>が樹立した18日連続ストップ高の記録を破る銘柄は出現するだろうか?(編集担当:寺尾淳)