NYダウは62ドル安。プラスの時間帯もありキプロス問題は東京よりもクールな受け止め。19日朝方の為替レートは、ドル円は95円台前半、ユーロ円は123円台前半とだいぶ円安に戻した。ヨーロッパ主要市場はイギリスのFTSE100が-31.73、フランスのCAC40指数が-18.56、この国の支援の出し渋りがキプロスの混乱の元凶だと批判を浴びるドイツのDAX指数が-32.16と、金融セクター中心に株価が下がっても下落率は1%以下で影響は限定的。心配されたキプロス以外の国の銀行での取り付け騒ぎは起きなかった。押し目買いでどこまで戻すか注目の日経平均は184.98円高の 12405.61円で、TOPIXともどもほぼ半値戻しで始まった。前場早々9時台に12450円にタッチするが、その後はずっと12400円台でもみ合いの展開。大引け前に上昇するが12500円に届きそうで届かず、終値は247.60円高の12468.23円だった。TOPIXは+17.55の1045.89で、ともに前日のほぼ7割戻しだった。春分の日の祝日休場前でアメリカのFOMCの結果を見きわめたいという様子見ムードもあり、売買高は28億株で売買代金は2兆円を少し割り込んだ。
東証1部の約7割の銘柄が株価を上げ、業種別騰落率でマイナスの業種は前日に石炭関連銘柄が買われた反動が出た鉱業のみ。プラスの上位は海運、陸運、輸送用機器、電気・ガス、銀行、電気機器と「乗り物」関係が1~3位を占め、下位は建設、不動産、空運、ゴム、サービスなどだった。
銀行株や証券株は堅調で、三大メガバンクや野村HD<8604>は反発。ソニー<6758>、キヤノン<7751>、ファナック<6954>、京セラ<6971>、KDDI<9433>、信越化学<4063>、エーザイ<4523>などのハイテク系主力銘柄は軒並み3ケタの株価上昇だった。太陽誘電<6976>も94円高で昨年来高値を更新。JT<2914>も4日ぶりに反発して45円高だった。ローソン<2651>が新聞に2月期の営業利益が過去最高更新という観測記事が出て3日続伸した他、丸井G<8252>、ユナイテッドアローズ<7606>、ポイント<9104>、ヤマダ電機<9831>、コジマ<7513>など、小売に5%を超える株価上昇をみせる銘柄が続出した。オリエンタルランド<4661>が430円高で昨年来高値を更新したのは株主用パスポート狙いか? 小売、鉄道、外食あたりも来週26日の権利付き最終日まで株主優待狙いで買われそうだ。
15日に株価が満開だった海運株が再びランキングをにぎわせた。21円高の第一中央汽船<9132>は値上がり率1位、売買高2位、一時ストップ高になった明治海運<9115>は80円高で値上がり率2位、36円高の共栄タンカー<9130>は値上がり率4位、売買高5位、売買代金11位、7円高の川崎汽船<9107>は売買高4位、18円高の商船三井<9104>は売買高10位、11円高の日本郵船<9101>は売買高11位。バルチック海運指数の上昇が続く運賃高、円安、TPPで貿易拡大と、好材料の八重桜が長く楽しめるか。
ブレーキだったのが大手不動産株で、三井不動産<8801>は8円安、三菱地所<8802>は21円安。それでも21円高で昨年来高値を更新した東急不動産<8815>のような銘柄もあった。2円安の三越伊勢丹HD<3099>は、取引時間中に昨年来高値を更新しながら前日比マイナスで終わる日が2日続き、後場が鬼門。DeNA<2432>、グリー<3632>が揃って下落し、アイフル<8515>、オリコ<8585>のノンバンク兄弟も24円安、12円安と元気がなかった。アメリカでの事業環境が悪化し野村証券のレーティングが良くなかった臨床検査のみらかHD<4544>は300円安で値下がり率6位と不振。キリンHD<2503>は自社株買い報道で68円高と高く始まったが前場に急落し、一時はマイナスに沈み結局1円高とさえなかった。
この日の主役は乗り物の中でも日本の基幹産業で輸出関連銘柄の花形の「自動車」。完成車メーカーは27円安のダイハツ<7262>以外は全てプラスで、SUVのFJクルーザーの全世界31万台リコールを発表したトヨタ<7203>、F1復帰のニュースがファンを喜ばせているホンダ<7267>はともに90円高。上昇率が高かったのは、ディーゼル搭載新型アテンザが好評の16円高のマツダ<7261>、本社工場を古河市に全面移転しても社名は変わらない47円高の日野<7205>、四輪本格進出を目指す49円高のヤマハ発動機<7272>、ボーイング787の問題をインプレッサの好調ぶりがカバーして47円高の富士重工<7270>、15日に新型ミラージュの1万9000台リコールを届け出ても3円高の三菱<7211>というところ。この業界は円安のおかげで3月期決算発表では明るい通期業績見通しが揃いそうだが、中国市場に傾斜しすぎてこの日も6円の小幅高で終わった日産<7201>が少し心配だ。(編集担当:寺尾淳)