【日経平均】167円高で4年半ぶりの12600円台に

2013年03月21日 23:12

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本日の値上がり銘柄が全体の4分の3を超える全面高で、マイナスは不動産、鉄鋼、海運の3業種のみ。上位は繊維、証券、電力・ガス、その他金融、情報・通信などだった。

 19日のNYダウは3ドル高と小反発。20日のNYダウは、この日まで開かれたFOMCでFRBの量的緩和政策もゼロ金利政策も続行と決まり、バーナンキ議長の記者会見では出口戦略のデの字も出なかったため、一時は取引時間中の史上最高値を更新し55ドル高で14500ドル台を回復した。21日朝方の為替レートは、ドル円が96円近辺、ユーロ円が124円台前半と、ともに19日と比べ1円を超える円安進行。20日に就任した黒田総裁率いる日銀新体制への期待とご祝儀ムードがあいまって、祝日明けの日経平均は123.77円高の12592.00円と大幅高でスタートした。キプロスの国会が預金課税法案を否決しても、EUが支援の代替案を出しても、もう過去の話なのか、すぐに12600円台に乗せ、12650円にもタッチした。その後は2月の貿易収支の赤字幅7775億円が市場予測より小さく為替が少し円高に戻ったり、午後6時の黒田新総裁の記者会見前の様子見もあって12600円台前半で値動き小さく安定的に推移。終値は167.46円高の12635.69円で4年半ぶりの12600円台をマークした。TOPIXは+12.21の1058.10。売買高は34億株ながら売買代金は2兆円台を回復している。

 値上がり銘柄が全体の4分の3を超える全面高で、マイナスは不動産、鉄鋼、海運の3業種のみ。上位は繊維、証券、電力・ガス、その他金融、情報・通信などだった。

 日銀の新体制でさらなる金融緩和が期待されるが、この日、買われたのは銀行よりも証券。野村HD<8604>は13円高だが、大和証券G<8601>は28円高、松井証券<8628>は29円高でともに昨年来高値更新。JPX<8697>は値上がり率が10%を超える790円高で上場来高値を更新した。

 ソニー<6758>は売買代金1位で29円高。前週からの大手証券の買い推奨が効いて株価が一時1700円台を回復した。日立<6501>は14円高だったもののシャープ<6753>が1円高、パナソニック<6752>が4円高、三菱電機<6503>が7円高で、東芝<6502>、NEC<6701>、富士通<6702>がマイナスと電機株がふるわない中で元気だった。11月のショッキングな第2四半期決算発表から4ヵ月以上が経過したが、「世界のソニー」の復活を期待する投資家もアナリストも、国の内外を問わず多いようだ。

 新聞に買い材料が出て買われた銘柄には、宮永俊一次期社長が読売新聞で「連結売上高を5~7年で5兆円にする」と元気に語って8円高の三菱重工<7011>、日覚昭広社長が訪問中のタイに約560億円を投資すると表明して39円高で昨年来高値更新の東レ<3402>、LCCの低運賃に「全路線片道1万円」で対抗して減益幅縮小の効果が出て16円高のスカイマーク<9204>などがあった。3月期の最終利益を15億円上方修正したアンリツ<6754>、自己株消却と配当予想の上方修正を発表したヤフー<4689>は昨年来高値を更新している。そのヤフーの親会社ソフトバンク<9984>は185円の大幅高で750円高のファナック<6954>とともに日経平均を押し上げた。

 HSBCが発表した中国の3月の製造業PMI速報値は前月比1.3ポイント増の51.7で、ようやくエンジンがかかってきた気配あり。中国関連はファナックは大幅高だったが、日立建機<6305>は23円高、コマツ<6301>は16円高とまだ波に乗りきれない。日産<7201>は18円高だった。空気清浄機が中国で売れているダイキン<6367>はクレディスイス証券が投資判断を引き下げたため150円安で値下がり率10位。前日に中国のサンテックパワー(尚徳太陽能電力)が破産手続きを開始したが、サニックス<4651>は13円高、ウエストHD<1407>は74円安、シャープは1円高と太陽光発電関連銘柄は高安まちまちで影響は限定的か。

 三大都市圏では下げ止まっても全国では5年連続下落となった大引け後の公示地価発表も織り込み済みだったのか、大手不動産株、含み資産株は不調で、三菱地所<8802>が73円安で3日続落、三井不動産<8801>が40円安で4日続落、住友不動産<8830>が10円安、東急不動産<8815>が24円安で、よみうりランド<9671>、東京都競馬<9672>、三菱倉庫<9301>も売られた。それでも百貨店は高島屋<8233>が24円高で昨年来高値を更新。三越伊勢丹HD<3099>も43円高と3日ぶりにプラスで終えたが、皮肉にも昨年来高値は連続3日で途切れた。

 この日の主役は60円高のオリコ<8585>で、値上がり率1位、売買高1位、売買代金2位と買いを集めた。年末年始の人気銘柄だったが、その後はランキングからしばらく遠ざかっていた。それが不動産株や含み資産株の勢いに陰りが見えたこの日、ノンバンクの弟分のアイフル<8515>を伴って表舞台に派手に復帰した。アイフルも一時ストップ高の80円高で値上がり率5位、売買高7位。そんな回転ドアのような「循環物色」は、スポーツにたとえれば主力選手がケガをしたり不調に陥っても交代要員だった選手が絶好調になってカバーしてくれるようなもので、市場全体の好調さが長続きする。大きく上昇する業種や銘柄が毎日のように替わる「日替わりヒーロー」状態になれば、より理想的だ。(編集担当:寺尾淳)