最先端技術を活かした、新しい日本の「家」のカタチ

2013年03月23日 20:37

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東京・お台場の青海駅前特設会場で今月24日まで開催されている「HOUSE VISION 2013東京展」。写真は、未来生活研究会がシェアリング・コミュニティとして展示している5分の1スケールの集合住宅

 環境や社会の変化に応じて、日本の家のカタチも徐々に進化してきた。最近では、省エネ・節電志向を背景に、最先端の技術を使ったスマートハウスなどに話題が集中しているが、家というものは日本人にとって昔も今も生活文化の象徴でもあると同時に、豊かな生活を営むための礎であることは変わりない。そんな日本の「家」の未来を示し、さらには輸出産業につなげていくことを目的とした展覧会「HOUSE VISION 2013東京展」が、3月2日から24日まで、東京・お台場の青海駅前特設会場で開催されている。

 「HOUSE VISION」は、日本人の暮らし方を具体的に提示するためにつくられた情報発信と研究のプラットフォーム。デザイナーであり、武蔵野美術大学教授・日本デザインセンター代表でもある原研哉氏が発起人となって各企業に呼びかけ、さまざまな視点から未来の暮らしや住まいのあり方について研究を重ねている。10回の研究会を経て、2011年10月には「東京シンポジウム」を開催し、2012年3月には中国でもシンポジウムが実施されるなど、アジアを視野に入れた活動を積極的に展開。今回の東京展は、これまでの活動の集大成として、建築家と企業のコラボレーションにより、原寸大の6つの家と1つのシェアリング・コミュニティで、新しい「暮らしのかたち」を提案している。

 まず、「移動とエネルギーの家」というテーマの元、ホンダ<7267>と建築家の藤本壮介氏のコラボレートによる展示ハウスでは、太陽光やガスによる発電・蓄電のエネルギーシステムに加え、ホンダが開発した歩行アシストや家の中を座ったまま移動できる「UNI-CUB」など室内移動ための新しいモビリティと、電動2輪車や4輪車など屋外用の移動手段とをスムーズに連係することを提案。斬新な切り口によるバリアフリー空間の中で快適な暮らしをサポートする移動システムを利用することで、究極のシームレス空間を演出している。

 また唯一のシェアリング・コミュニティ(地域社会圏)という形で提案されているのは、未来生活研究会(メックecoライフ(三菱地所グループ)、三井不動産レジデンシャル、野村不動産<3231>、ミサワホーム<1722>、東芝<6502>、ローム<6963>、KDDI研究所、日本ペイント<4612>、昭和飛行機工業<7404>と山本理顕氏、末光弘和氏、仲俊治氏という3名の建築家がコラボした5分の1スケールの集合住宅。500名の居住を想定しており、共有部が非常に広く取られているため集合住宅というよりは巨大なシェアハウスのようで地域コミュニティの新しい形を提案するものとなっている。メックecoライフ、三井不動産レジデンシャル、野村不動産など都市開発で実績を持つ不動産関連企業の街作りのノウハウに、ロームの最先端のセンサー技術などが加わり、さらに3名の著名な建築家がタッグを組んで新たな空間設計を行うことで、居住空間としての住宅だけではなく、エネルギーや通信、ゴミ処理といったインフラ、都市交通や移動手段、介護や子育てなど、暮らしを多角的にとらえた未来型のコミュニティ構想となっている。

 他にも、各業界のリーディングカンパニーと建築家や芸術家とがコラボレーションした原寸大の住空間が展示されており、最新のハイテク技術を使って省エネや利便性を追求するという近未来的志向の中に、どこか懐かしさや豊かさを感じさせる要素が散りばめられている。日本の得意とする先端技術と日本らしい美意識などが融合した今回の東京展には、成熟した社会の中にある豊かな暮らしという、今後この国が目指すべき姿が映し出されているような気がした。(編集担当:北尾準)