ベトナムの二輪車販売台数は、2011年で約350万台と、中国、インド、インドネシアに次ぐ世界4位の市場となっている。また、そのほとんどををホンダ、ヤマハ発動機、スズキという日系企業がシェアしており、同国のバイク事業は、各メーカーにとって、重要な販売ターゲットとなっているようだ。
そのような中ホンダは、実用性とスタイリングを高次元で融合した次世代スクーター「LEAD125」をベトナムで生産し、同国内で3月に発売する。「LEAD125」は、開発コンセプトを「スタイリッシュ セダン スクーター」とし、エンジンは、「PCX」で好評を得ている低フリクション技術を採用し燃費性能に優れた水冷・単気筒125ccのeSP(イーエスピー)を搭載。さらに、アイドリングストップシステムを装備し、より優れた低燃費を実現している。また、電子制御燃料噴射装置を採用することで、安定した動力性能と高い燃費性能を両立。生産はホンダのベトナムにおける二輪車・四輪車の生産販売合弁会社であるホンダベトナムカンパニー・リミテッドが担当し、年間生産台数は20万台を予定している。なお、日本への輸出も計画しており、東京ビッグサイトで開催される「第40回 東京モーターサイクルショー」にて、3月23日より一般公開されているという。
また、ヤマハ発動機 もベトナム向け現地製コミューター「NOUVO SX (ヌーボ エスエックス)」を発売すると発表している。同製品はワンクラス上の高い走行性を感じさせる新設計エンジン、独自の燃料供給システムYMJET-FI採用による低燃費性能と高い環境性能・走行性能を兼備。アセアンATモデルとして初めてプロジェクターヘッドライト、LED照明メーター&LEDテールランプ、転がり抵抗20%低減の専用開発タイヤを採用する。なお、価格は標準仕様が3590万ベトナムドンで、ベトナム国内で年間12万台の販売を計画する。
安定市場となっている感のあるベトナムだが、今後、タイが現在陥っているような、二輪車市場の飽和状態が訪れることは否めない。ベトナム商工業省のよると、同国の飽和期は2020年頃と予想されており、同年に全国を走るバイクは約3,350万台で人口が9,960万人で、利用率は2.97人に1台となる予測だという。メーカー各社が、訪れるべくベトナムの飽和状態を迎えるまでに、打開する事業展開をいかに考え実施できるのか、秘策が生き残りをかける重要なポイントとなると考えられる。(編集担当:宮園奈美)