【日経平均】前場「甘利越え」したが終値12800円台

2013年04月05日 22:34

 NYドルは55ドル高。日銀の金融緩和を好感しながらも新規失業保険申請件数が予想外の増加で、5日発表の雇用統計への懸念がひろがって頭を押さえられた。5日朝方の為替レートはドル円が96円台前半、ユーロ円が124円台半ばで、24時間前と比べるとドル円は3円、ユーロ円は5円も円安になり「黒田バズーカ砲」(ロイター)の威力まざまざ。大証夜間先物取引で甘利経済再生担当大臣が3月末に望めると発言した日経平均13000円にタッチしたが、現物の日経平均も246.28円高の12880.82円で始まった後、すぐ13000円をオーバーして1週間遅れの「甘利越え」を果たした。

 ドル円が3年8ヵ月ぶりの円安水準に達したこともあり日経平均は一時13225円まで上昇し、前場は13000円台をキープしていた。しかし後場になると為替が急速に円高に振れて値を崩し、13000円を割り込む「甘利割れ」を喫した後、午後2時台には12900円をも下回る。終値は199.10円高の12833.64円で、3日続伸して年初来高値更新でも終値が始値を下回りローソク足は黒。TOPIXは+28.48の1066.24で、こちらは始値を約10ポイント上回った。東証1部売買高は驚きの64億円で過去最高を更新したが、そのうち約10億株をメガバンクのみずほ が占めた。売買代金は4兆8633億円で、黒田総裁言うところの「異次元の金融緩和」が株式市場で異次元の大商いを引き起こした。

 値上がり銘柄数は1288で全体の約75%を占め、プラスになった業種の上位は不動産、その他金融、銀行、陸運、証券、ゴム、倉庫、小売の順。マイナスになった業種はパルプ・紙、空運、非鉄金属、鉱業、卸売、鉄鋼の6業種だけだった。

 日経平均とシンクロする動きを見せたのがファーストリテイリング<9983>で、前場早々に年初来高値を更新しながら後場はズルズル下落してマイナス圏に落ち終値は750円安だった。一方、ソフトバンク<9984>は130円高で年初来高値を更新。ファナック<6954>は後場の高値から500円近くも下落しながら30円高に踏みとどまった。

 銀行株は三大メガバンクの売買代金がランキングの1~3位に入り、その合計が5800億円を超えて全体の1割以上を占めた。みずほは3円高、三菱UFJ<8306>は29円高、三井住友FG<8316>は190円高。証券の野村HD<8604>は23円高、JPX<8697>は930円の大幅高。その他金融のアイフル<8515>は44円高だが、オリコ<8585>は6円安だった。輸出関連銘柄は為替に連動して前場は上昇したが後場は下落。ソニー<6758>は7円高、新日鐵住金<5401>は2円安、パナソニック<6752>は12円安まで下げ、25円高のホンダ<7267>も一時マイナスになったが、9円高のマツダ<7261>と165円高のトヨタ<7203>は為替変動に動じなかった。しかし商社株は後場の円高に抗しきれず、三井物産<8031>は29円安、三菱商事<8058>は13円安まで下げている。保険株は長期金利の低下が債券中心の運用利回りに直結するため、T&DHD<8795>は89円安で値下がり率3位、ソニーファイナンシャルHD<8729>は同4位、第一生命<8750>は同5位に入り、ともに年初来安値を更新している。

 不動産はこの日も快進撃。三井不動産<8801>は380円高、三菱地所<8802>は299円高、値上がり率2位の東京建物<8804>は150円高、同3位のダイビル<8806>は231円高、同4位のヒューリック<3003>は150円高、同7位の東急不動産<8815>は150円高、同8位のイオンモール<8905>は493円高で、それらは全て一時ストップ高。住友不動産<8830>、値上がり率6位のNTT都市開発<8933>、同9位のフージャーズHD<3284>ともども年初来高値を更新した。値上がり率ランキングの2~9位を不動産業が占める中で、鳥インフルエンザ関連の大幸薬品<4574>が300円のストップ高で2日連続1位になっている。

 小売株は、セブン&アイHD<3382>が今期の営業利益見通しがアナリスト予想を上回って一時ストップ高の310円高で年初来高値を更新した他、眼鏡店チェーンのジェイアイエヌ<3046>は最終利益が前期の3.2倍の35億円という通期予想が好感されて250円高になった。一方、ファッション小売のポイント<2685>は前期の営業利益が約2割減でも今期の見通しは小幅増にとどまり、単元株数を10から100に上げることによる流動性の低下も懸念され、ストップ安の700円安で値下がり率1位になってしまった。

 この日の主役は「債券先物市場」。前場は一時、長期金利が史上最低の0.315%まで下落して国債先物価格も高止まりしていたが、利益確定売りに行きすぎ警戒感も加わって後場になって突如急落した。国債先物の中心限月の6月限物が「前日比で1円を超える下落」になると東証が一時売買停止の措置をとる「サーキットブレーカー」を午後1時8分に発動。しかし、売買再開後もさらに2円下がったため、午後1時39分に2回目のサーキットブレーカーを発動した。2度目の再開後も一時2.94円安まで急落する場面があったが、3回目は発動されなかった。東証のサーキットブレーカー発動は2008年10月14日以来4年6ヵ月ぶりのこと。債券先物に連動して長期国債10年物の現物価格も下落して長期金利は史上最低水準から折り返して上昇をみせ、それが為替レートにダイレクトに効いてドル円は前場のピークの97.20円から96.13円まで1円を超える円高進行。そのため輸出関連銘柄を中心に上げ幅を圧縮する銘柄が続出し、日経平均の後場の250円を超える下落につながった。13000円突破の「甘利越え」に沸く株式市場が、債券先物という思わぬ伏兵に足をすくわれた昼下がりの出来事だった。(編集担当:寺尾淳)