【日経平均】一時マイナスでも後場一段高で終値13926円

2013年04月25日 20:20

 この日、大幅下落したのが2つの「堂」。資生堂<4911>は前日、前期決算の最終損益を105億円の黒字から147億円の赤字に下方修正して64円安。買収したアメリカの子会社の販売不振でのれん代の減損損失を計上し、それが今期も残っているためだが、社運をかけて進出した中国で昨年秋に反日デモが起きた影響も無視できないだろう。
 
 前日に決算発表を行った任天堂<7974>は2期連続の営業赤字364億円を計上し、東証終値は660円安で値下がり率18位。10分間のロスタイムがある大証では710円安とさらに追加点を許した。有力ソフトの不足で「Wii U」も「ニンテンドー3DS」も販売不振に陥っている。「専用機の時代は終わった」とゲーム業界のパラダイムシフトを唱える論調は少なくないが、「パズドラ」で大当たりしたガンホー<3765>の時価総額がこの日、1兆円の大台に乗せたように、ゲームコンテンツは個人の才能が物を言う世界。ヒット作を生む才能の持ち主がよそに移るとプラットフォームもアッと言う間に衰退していく。今期は大幅な増収増益を見込むが、1年前も増収増益見通しを出しており、岩田聡社長の言うことをどこまで信用できるかわからない。

 この日の主役は「石炭火力発電」。日経新聞朝刊に政府が石炭火力発電所の新増設を再開するという記事が出て、5月に環境アセスメントの新基準を東京電力<9501>の新設石炭火力に適用し1年で終わらせるという。さっそく石炭関連銘柄が反応し、住石HD<1514>は24円高で年初来高値を更新し値上がり率4位、売買高13位。三井松島産業<1518>は12円高。太平洋興発<8835>は12円高で年初来高値を更新し、日本コークス工業<3315>は5円高。石炭火力発電で実績があるJパワー<9513>は27円高だったが、東京電力は18円安だった。

 石炭火力の単位電力当たりのCO2排出量は現在主力のLNG火力より多いので、政府は2009年9月に鳩山内閣が打ち出したCO2削減目標「25%」を撤回して国連に通知し、11月にワルシャワで開かれるCOP19(第19回気候変動枠組条約締約国会議)で「原発再稼働が難しくやむを得ない」と事情を説明するという。石炭の平均発電単価は現在輸入されているLNGより安く、Jパワー磯子火力発電所の環境対策技術の紹介記事が目について世論操作の匂いもするが、その磯子火力で2011年11月に爆発火災事故が起きて17時間も燃え続けるなど石炭には安全性の懸念もある。それよりも、あんなに大騒ぎしたシェールガスのシの字も言わなくなった政府の変わり身の早さが気になる。(編集担当:寺尾淳)