業種別騰落率でプラスになった空運はJAL<9201>が165円の大幅高で8日続伸し年初来高値更新。大引けに急伸した理由はTOPIXのリバランスに伴う買いだが、ボーイング787の運航再開期待にGWの旅行者増の見通しが加わって上昇気流には乗っていた。しかし、国土交通省が運航再開を認める「耐空性改善通報」を26日中に発行する方針を固めてもANAHD<9202>は1円安だった。同じく業種別騰落率プラスのパルプ・紙は日本製紙<3863>が88円高で年初来高値を更新し値上がり率15位に入り貢献していた。
メガバンクに上昇銘柄はなく、野村HD<8604>は5円安。SBIHD<8473>は88円安で続落したが、JPX<8697>は後場に上昇して570円高だった。取引時間中に円高が進行したこともありトヨタ<7203>が20円安、マツダ<7261>が4円安、三菱自動車<7211>が8円安と自動車株は軟調で、引け際の上昇で10円高のホンダ<7267>が健闘していた程度。電機も東芝<6502>が8円安、NEC<6701>が22円安など下落銘柄が多かった。
しかし、輸出関連株でも個別に上昇する銘柄はあり、新日鐵住金<5401>が1円安、JFEHD<5411>が22円安と不振だった鉄鋼株でも神戸製鋼<5406>は後場に出た今期の営業利益が6.7倍の750億円になるという強気の業績見通しが好感され、一時23円高、終値9円高で値上がり率12位、売買高1位に躍り出た。コマツ<6301>は「2016年3月期までに営業利益率20%達成が目標」という拡大計画が評価され68円高で年初来高値更新。日立建機<6305>も50円高で連れ高した。その他に55円高のテルモ<4543>、72円高で値上がり率13位のヤマハ<7951>もそれぞれ年初来高値を更新している。
日経平均を押し下げた大型株は前期の最終損益が38億円の赤字で121円安、値下がり率18位になったアドバンテスト<6857>や、80円安のKDDI<9433>、140円安の住友不動産<8830>、80円安の三井不動産<8801>などだったが、資生堂<4911>は50円を20円に下げる今期の減配見通しまで出して126円安、値下がり率14位と大幅続落。そして後場に飛び込んできたニュースが「ヤクルト本社<2267>がフランスのダノンとの提携を解消」で、直後にヤクルトから正式に発表された。出資比率をめぐってさんざん話題をふりまいた間柄だけにまさにサプライズで、ヤクルト株はストップ安の700円安まで売り込まれ、終値は265円安だった。
この日の主役は売買代金ランキング1位に入ったソニー<6758>。前日に前期の決算見通しの修正を発表し、経常損益は従来予想から1000億円プラスして2300億円の黒字、最終損益は従来予想から200億円プラスして400億円の黒字に上方修正した。NY市場のADR価格が上昇し、東京市場でも取引開始直後に株価が1700円を突破して83円高まで上がったが、その後は利益確定売りに押されて終値は4円高と竜頭蛇尾だった。前々期で4566億円の最終赤字を計上し、昨年11月1日の四半期決算発表でも401億円の最終赤字を計上しながらも200億円の最終黒字の見通しを出して突っ張っていたが、子会社株式や自社ビルの売却などとるべき手段をとって結局、見通し通りに最終黒字にこぎつける公算大。前々期の最終赤字が7721億円、前期は7650億円の最終赤字の見通しでこの日11円安のパナソニック<6752>、前々期の最終赤字が3760億円、前期は4500億円の最終赤字の見通しでこの日3円安のシャープ<6753>という巨額最終赤字の〃兄弟〃たちとは、ソニーだけお先に縁を切ることができそうだ。(編集担当:寺尾淳)