電動アシスト自転車「PAS」が、河口湖観光の新しい移動手段に

2010年03月15日 11:00

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富士河口湖名物開発委員会は、ヤマハ発動機の電動アシスト自転車「PAS」をレンタル利用するエコサイクル事業を開始。3月2日に40台が納入される際、関係者約30人が参加した出発式が開催され、安全祈願の後、参加者が湖畔沿いを試乗した。

 ヤマハ発動機 <7272> と富士河口湖町の観光業者などでつくる富士河口湖名物開発委員会は、2010年3月2日より同社の電動アシスト自転車「PAS」をレンタル利用するエコサイクル事業をスタート。同日、計40台が同委員会に納品された際、関係者約30人の参加による出発式が実施され、安全祈願の神事が行われた後、参加者が湖畔沿いを試乗した。

 まず初期段階としては、河口湖畔のホテルや貸しコテージなど5ヶ所に「PAS」のレンタル拠点を設置。今後は自転車の充電スポットとなる飲食店などの参加企業を募集していく。同開発委員である山下茂会長は、「飲食店などに充電器を置くことで待ち時間を飲食に当ててくれる可能性が高い。設置店への売り上げにも貢献できることで河口湖の観光業界全体の発展に繋がると考えている」と集まった地元メディアに話した。最終的には貸し出し場所10カ所、計200台の自転車を配置したいという。

 「時代はエコを求めています。電動自転車なら二酸化炭素(CO2)の排出が自動車の約1/10。また、湖畔周辺の道路渋滞の解消にもつながるでしょう」(山下茂会長)。自動車では入れない脇道にも侵入できることで、指定の観光名所だけでなく、新名所を発見してほしいという狙いもあるとか。河口湖の新しい魅力を観光に訪れた人が独自に発見してもらい、それが口コミなどで広がることが新たな観光客の誘致にもつながると考えているようだ。

 実際、河口湖ではこれまでもレンタル自転車はあったが、河口湖周辺は坂や橋が多く利用率が低かった。電動アシスト自転車「PAS」を移動手段として利用すれば、体力負担も少なく、世代を問わず快適に湖畔の観光を楽しめそうだ。今回、納入された「PAS」は、20インチと通常の大人用よりひと回りほど小さいことから、小学生の高学年から乗車が可能なため、家族でサイクリングを存分に楽しんでもらいたいという委員会側の意図も伺える。

 スムーズで快適な走りを目指す「PAS」は、1993年に、”人間感覚を最優先した、人にやさしく、地球にやさしいパーソナル・コミューター”というコンセプトのもと、ヤマハ発動機が世界に先駆けて開発・発売した電動アシスト自転車だ。人がペダルを漕ぐ力とほぼ同じ分の力をサポートしてくれるので、軽やかに乗ることができる。同社は昨年の11月より、全国各地でこの「PAS」のレンタル事業を展開しており、既に、東京、京都、鎌倉、長崎(平戸)などでは、レンタル拠点となる企業や団体と協力しながら、積極的に新しい観光地の楽しみ方を提案している。

 さらに同社は、全国の旅情報や「PAS」のレンタル拠点を紹介するサイト”Becle(ビークル)”により、各観光地のバックアップも行っている。河口湖名物開発委員会では、このサイトを通じて他の観光地と交流を深めることで、割引券などをお互いの観光地内のマップなどを利用して発行しあうなどの活動も計画しているという。
(編集担当:宮園奈美)