スマートフォンやタブレット利用者の拡大とともに、様々なアプリが開発され、人気を呼んでいる。中でも、無料通話と無料メールを提供する「LINE」は、10代から20代の比較的若い世代を中心に圧倒的な人気を誇っているアプリケーションだ。
LINEは世界規模で展開を行っているが、とくにアジア圏での人気が高く、タイや台湾、インドネシア、EU圏ではスペインを中心にユーザーが増加しており、4月末時点での利用者が1億5000万人を突破した。ちなみに、利用者の半数近くは日本人だという。
もともと、LINEは、韓国最大のインターネットサービス会社NHN社の日本法人である。
旧NHN Japanのウェブサービス事業。本国である韓国よりも、日本で大躍進しているのには理由がある。それは、韓国ではLINEよりも同種のサービスを提供するKAKAO TALK(カカオトーク)の人気が高いことだ。
一方、韓国系企業でありながら本国より先に日本でサービスを開始したことも影響してか、日本ではKAKAO TALKよりもLINEの方が定着している。ユーザーの中には、LINEが韓国系企業と知らずに利用している人も多いだろう。
また、アジア市場全体で見れば、もう一社、華僑を中心に全世界の中国人が利用しているWechat(ウィーチャット)があり、この3つの無料メッセンジャーアプリがアジア市場で三つ巴の競争を展開している状況だ。
そして先日、LINEを運営するLINE株式会社に動きがあり、話題となっている。
今年4月1日に、旧NHN JapanからLINE事業を分割する形で設立したLINE株式会社は5月9日、初めてLINE事業に関する業績を開示したのだ。それによると、2013年1-3月期のLINE事業の売上額は、前四半期比約92%増となる58.2億円と大躍進していることが分かる。
LINE事業の基盤となるのは、191種のスタンプと24種のゲームアプリ。売上の内訳としては、約50パーセントをゲーム課金が占め、スタンプ課金が約30パーセント。地域別売上では、日本が約80パーセントと群を抜いている。今後は日本以外のアジア地域、スペイン、南米地域でのマーケティングも強化していく方針だ。
LINEはこれまで、業績としては赤字との見解もなされてきたが、今回の業績開示はそれを払拭する内容となっている。また、分社、社名変更の流れからも、株式上場を目指していると推測され、その動向が注目されている。
まだまだ勢いの止まらない様子のLINE。今や、スマホ時代の日本の常識アプリとなりつつあるが、このまま安定するのかは未知数だ。Facebookやmixi<2121>などの例もあるので、上場されてもしばらくは静観した方が得策かもしれない。とはいえ、上場すれば今後のアジア市場でのシェア獲得に向けての大きな一歩となるのは間違いないだろう。(編集担当:藤原伊織)