【日経平均】14400円台クリアの後は荒れて終値14285円

2013年05月08日 20:09

 NYダウは87ドル高で終値が15000ドル台に乗せて未体験ゾーンを突き進む。8日朝方の為替レートはドル円が99円近辺、ユーロ円が129円台半ばで前日とあまり変わらない水準。日経平均は15.96円高の14196.20円で始まり、前場は14200円→14250円→14300円→14350円と昇り一本調子。TOPIXは一時、4年8ヵ月ぶりの1200台に乗せた。しかし日経平均は後場早々に14400円台に乗せてから急落し、午後1時すぎには14300円を割り込む。その要因は98円台になった円高に加えて主要企業の決算発表で、例によって今期増収増益見通しでも市場予測を下回れば売られていた。その後は14250~14350円の範囲でアップダウンを繰り返し、「SQ前の水曜日は荒れる」というアノマリー通りの展開。終値は105.45円高の14285.69円で年初来高値を更新したが、後場に値崩れした印象が強く残る。値上がり銘柄877に対し値下がり銘柄は722もあり、TOPIXは+5.77の1194.34にとどまった。売買高は39億株だったが、売買代金は3兆3258億円で3兆円の大台に乗せている。
 
 値上がりセクターはガラス・土石、保険、精密、建設、機械、卸売など。値下がりセクターは不動産を筆頭に水産、金融、空運、石油・石炭、ゴム製品などだった。
 
 この日の日経平均を支えたのは550円高のファナック<6954>と140円高のソフトバンク<9984>で、両銘柄合わせて+38円寄与。ファーストリテイリング<9983>は700円安で日経平均寄与度は-28円だった。
 
 よく買われていたのが医療関連、中国関連の銘柄で、内視鏡のオリンパス<7733>は130円高、その合弁先をソニー<6758>と争ったテルモ<4543>は170円高で、ソニーは37円高。この3銘柄はいずれも年初来高値を更新した。ディスポーザブル医療器具のニプロ<8086>も164円高で年初来高値を更新し値上がり率10位に入っている。午前中に中国の4月の貿易統計が発表され、前月を上回り市場予測を超える好調さで上海、香港市場は堅調。日立建機<6305>が128円高、コマツ<6301>が115円高でどちらも年初来高値を更新した。中国関連にも数えられる大手商社は三菱商事<8058>と丸紅<8002>が決算発表を行い、三菱商事は最終利益が前期が20.4%減でも今期は11.1%の2ケタ増益で68円高になったが、丸紅は最終利益の伸び率が前期の19.5%から2.1%に急減するためか発表後は売り込まれ8円高にとどまった。
 
 トヨタ<7203>は80円高で年初来高値を更新したが、大引け後の決算をめぐって大手メディアが予想合戦を繰りひろげた。業績観測で騒がれるのはさすがトヨタだが、発表した営業利益見通しが市場予測を下回り翌日の株価が気になる。それでも今期の想定レートは1ドル=90円なので、業績予想上方修正の余地を見込んだ株価になるかもしれない。午後1時に前期の最終利益約3倍の好決算を発表した富士重工<7270>は今期は最終減益予想でも39円高で、年初来どころか上場来高値も更新した。電機ではシャープ<6753>がアップル向け液晶増産の観測が出て22円高、売買高4位と買われた。ここもアップル関連銘柄。一方、東芝<6502>は業績観測報道の内容がさえず売買高3位で27円安と売り込まれ明暗が分かれた。ドワンゴ<3715>は初のネット選挙になる参議院選挙が近づき、一時ストップ高で値上がり率9位、売買代金2位と相変わらずの人気ぶり。
 
 いいところがなかったのが不動産で、前日発表した決算が今期増収増益予想でも市場予測を下回った三菱地所<8802>が165円安、住友不動産<8830>が150円安、三井不動産<8801>が110円安で、3銘柄で日経平均を17円押し下げた。東急不動産<8815>、東京建物<8804>も株価を下げている。

 この日、目立ったのが「ストップ高銘柄の代替買い」。原発関連の木村化工機<6378>がストップ高(値上がり率4位)で買えなくなると買いが日本製鋼所<5631>に向かいこれもストップ高(値上がり率6位)。バイオ関連ではマザーズのタカラバイオ<4974>がストップ高で買えなくなるとその持株会社の宝HD<2531>が買われ、それもストップ高(値上がり率1位)になると、シティグループ証券が投資判断を引き上げインフルエンザ関連銘柄でもある富士フイルムHD<4901>が買われ、237円高で年初来高値を更新した。以前もゲーム関連でガンホー<3765>がストップ高で買えない時にDeNA<2432>やグリー<3632>が代替物色される現象が起きていた。代替買いは個別株投資としてはあまりほめられたやり方ではないが、それだけ投資家の買い意欲がヒートアップしていたということ。こんな「東京がダメなら名古屋があるさ」的な買い方をする投資家は、たとえばアップルのiPhoneが入荷待ちで買えなかったら、「同じスマホだからま、いいか」と、シャープやサムスンの端末を買って帰るのだろうか。(編集担当:寺尾淳)