欧州ナンバー1の530cc最強ビッグスクーターが登場

2013年05月19日 18:12

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欧州市場で、2012年度の販売実績が51cc以上において1位だったのがヤマハ発動機のTMAX

 欧州市場で、2012年度の販売実績が51cc以上において1位だったのがヤマハ発動機<7272>のTMAXだ。このオンロードスポーツモデルともいえる最強ビッグスクーターのTMAXが、4代目でついにエンジン排気量を30ccアップさせ国内モデルとしてフルモデルチェンジした。(TMAX530の希望小売価格は96万6000円~105万円で2013年6月25日発売)

 長引く不景気でも、100万前後の高価格なビッグスクーターが欧州や日本でも売れ行き好調なのには驚くが、実は国内向けの二輪車の販売台数がここにきて回復の兆しを見せている。日本自動車工業会のデータによると、2012年の二輪車の国内需要は44万2407台と、11年の44万4992台を若干下回ったものの、13年の国内需要の見通しは44万6000台と前年を上回る数字を予想している。

 だが国内需要の推移は、1980年代の200万台をピークとし、2006年以降は、都市部での駐車場問題や排出ガス規制による車両価格の上昇、それによるモデル数の減少、原付免許取得者の減少などにより、二輪車の国内需要は減少傾向にあった。そのため10年には38万台まで落ち込んだが、ここにきて徐々にではあるが回復している。これは、海外生産することでコストダウンを図り、消費者ニーズを捉えた低価格の新商品を投入したことが考えられる。それに加え、40~50代ライダーや女性ライダーが増えたことが下支えしてきているのもあるだろう。特に中高年ライダーは、若い頃に買えなかった憧れのバイクを購入できる年代になったこともあり、新車や大型で高額なバイクを好んで購入する傾向がある。

 自動車工業会が実施した、「2011年度二輪車市場動向調査」によると、排気量401~750ccに乗っているユーザーの95%が、今後も二輪車に乗り続けたいと答え、新規購入ユーザーの総合満足度も他の排気量よりも91%と一番高い。また「趣味の乗り物」と捉えているユーザーが8割以上と多いのも特徴的だ。スクーターの場合は「交通手段としての乗り物」と、「生活道具としての乗り物」を合計すると8割を超えている。すなわち、排気量が401ccを超えるビッグスクーターは、普段の交通手段としても、またツーリングなどの趣味の乗り物としても両方のユーザーを満足させる必要があるということ。さらにスクーターは使用頻度が高く、年間走行距離が多いことから、実は一番、ユーザーの要求水準が高いものといえるのだ。

 そんな市場動向を反映させて、満を持して登場させたのが、この新型エンジンを搭載したTMAX530なのだ。当然TMAX530を運転するのには、大型二輪免許が必要となるが、なぜ排気量を30ccアップさせ530ccとしたのかが気になるところ。

 「今回、スロットル操作に対するダイレクト感をさらに高めるなどのために排気量を30ccアップさせましたが、従来から高いご支持をいただいていますTMAXならではの “重量・サイズ・エンジンパワー”といった3要素のバランスは、排気量をアップさせましたが、より高い次元へと引き上げています。オートマチックの気軽さは欲しいけれど、スポーティな走りはマストといったお客様に最適なモデルです。普段はスクーターとしての実用性があり、休日にはスポーティな走りで郊外ツーリングなどを楽しめる2面性をバランスさせたスポーツコミューターがこのTMAX530です」(ヤマハ広報)。

 ちなみに12年モデルとスペックの比較をすると、価格が2万円~アップとわずかながら高くなったものの、車重は5kg軽くなり、最高出力は46PS(前モデル38PS)、最大トルクが5.3kgf・m(前モデル4.5 kgf・m)と大幅に動力性能が向上しているのが見て取れる。それに加え、新設計CVTを採用したことや、新設計アルミリアフレーム、ベルトドライブの採用、フレーム剛性のバランスを最適にさせたことにより、ATの気軽さを持ちつつ、街乗りでの快適性とスポーティな走りを両立させている。またそれらに加え、今まで国内仕様に設定がなかったABSモデルもラインアップさせた。さらにはLEDテールライトに加え、国内市販二輪車初となる上下サブリフレクター付プロジェクターヘッドライトが装備されたことで、雨天時や夜間走行での安全性もより向上しているのも特徴としてあげられる。また、排気量はアップしているが、軽量化に成功し燃費も向上している。

 TMAXのようなビッグスクーターは高速走行やタンデム走行を前提に設計されているので、高速道路の二人乗り走行が一部解禁となった現在では、熟年カップルでのタンデムツーリングといった遊び方もできるのだ。30代以下のライダーが減少し、落ち込む二輪車市場を牽引するのは401cc以上の高級ビッグスクーターかもしれない。(担当編集:鈴木博之)