前週末7日のNYダウは207ドル高。注目の5月の雇用統計は、失業率は0.1ポイント悪化して7.6%だったが、非農業部門雇用者数の増加は17.5万人で4月の14.9万人より2.6万人多く、市場予測の17万人を少し上回った。増加数が20万人を超えると「量的緩和の縮小が早まる」と売り材料になりかねなかったが、17.5万人はちょうどいい「湯加減」だったようで大幅高になった。前週末には一時94円台をつけたが、10日朝方の為替レートはドル円は98円台前半、ユーロ円は129円台後半で、円高も落ち着いてきた。
取引開始前に発表された1~3月期の実質GDP確定値は年率換算で4.1%増で、3.5%増の速報値も、市場予測も大きく上回る。4月の貿易収支は8118億円の赤字だったが、所得収支が円安効果で52%の大幅増加になり、経常収支は7500億円と市場予測の約2倍で、3ヵ月連続のプラスだった。
日経平均は264.32円高の13141.85円と大幅高でスタート。前場は13200円台を回復して13300円台にもタッチ。ドル円が円高に振れて97円台になっても急落せず、高値もみあいの堅調な展開。後場はドル円が98円台に戻り日経平均はほぼ13300円台で安定する。5月の消費者態度指数が市場予測を上回る1.2ポイント上昇で45.7と発表された2時すぎには13400円台にタッチし、大引け前に上昇ピッチを上げ、終値は636.67円高の13514.20円の高値引けで13500円を突破し、4日ぶりの大幅反発。TOPIXは+55.02の1111.97と1100台を回復した。日経平均の上昇幅636円は今年最大だったが、その上昇率4.94%をTOPIXの上昇率5.21%が上回るという全面高。売買高は32億株、売買代金は2兆5760億円で、商いはやや低調だった。
東証1部の値下がり銘柄は39しかなく、日経平均225種では3銘柄だけ。業種別騰落率は全業種がプラスで、上位は輸送用機器、鉄鋼、ゴム、証券、情報・通信、石油・石炭などで、下位は陸運、パルプ・紙、不動産、卸売、倉庫、保険などだった。
金融、証券は日銀の金融政策決定会合への期待感でおおむね上昇。メガバンク3行は揃って高かったが、特に三井住友FG<8316>は190円高で上昇幅が大きい。野村HD<8604>は47円高、ノンバンクのアイフル<8515>も92円高で上昇率は10%を超えた。しかし地方銀行は値下がり銘柄が目立ち、横浜銀行<8332>が2円安、七十七銀行<8341>が19円安で値下がり率2位に入り、中国銀行<8382>、岩手銀行<8345>、京葉銀行<8544>、大垣共立銀行<8361>、百五銀行<8368>などが下げていた。
ドル円が前週末の94円台から朝方98円台まで戻ったので輸出関連銘柄は大きく反発。特に自動車はトヨタ<7203>が4日ぶりに反発して470円の大幅高だったのをはじめ、富士重工<7270>、マツダ<7261>、三菱自動車<7211>の上昇率は揃って10%を超え、ホンダ<7267>も160円高。自動車部品のデンソー<6902>やブリヂストン<5108>も3ケタ上昇だった。電機はソニー<6758>が126円高、パナソニック<6752>は31円高で、シャープ<6753>は第3位株主になるクアルコムへの第三者割当増資の発行条件が確定し、インドでエアコンを現地生産に切り替えて増産に対応すると報じられ、61円高で10%を超える上昇率だった。鉄鋼も好調で新日鐵住金<5401>は17円高、神戸製鋼<5406>は14円高で、これも上昇率は10%を超えている。
ソフトバンク<9984>は12日のスプリント・ネクステルの株主投票を前に不透明感が漂い、代替としてアメリカ市場4位のTモバイルの買収案が浮上したがそれでも480円高。ファーストリテイリング<9983>は950円高、ファナック<6954>は後場盛り返して350円高だったが、この日の「御三家」の影は薄い。不動産株も前週7日に大きく上げたため地味だった。シリコンウエハーのSUMCO<3436>は第1四半期の最終利益が72.5%減と悪く、通期業績見通しの下方修正はしないが47円安と売られていた。
原発がらみでは、東京電力<9501>は50円高で売買高、売買代金1位。東芝<6502>は傘下のウェスチングハウスがチェコの原発を受注すると報じられ33円高だったが、カリフォルニア州の原発2基が蒸気発生器の不具合で廃炉が決定し、アメリカの電力会社が損害賠償を求めると報じられて三菱重工<7211>は34円安で値下がり率1位と、主力銘柄全面高の中、ひとり逆行安していた。エネルギー関連では経済産業省が8日から新潟県沖の日本海でメタンハイドレード埋蔵量の本格調査を開始し、日本海洋掘削<1606>が14.67%、三井海洋開発<6269>が12.56%と上昇率が大きくなった。
ゲーム関連では7日に100億円の自己株式取得を発表したDeNA<2432>が194円高。バンダイナムコHD<7832>は「パックマン」がアメリカでテレビアニメ化されるなど世界進出が好感されて48円高。M&Aの世界では、敵対的買収防衛策の「パックマン・ディフェンス」で、名前だけは一足先に世界進出を果たしている。
この日の主役は「ジューンブライド」関連銘柄。現在主流の「ハウスウェディング」形式の結婚式プロデュースで成長したテイクアンドギヴ・ニーズ<4331>は、挙式費用の上昇が期待されてストップ高で値上がり率1位になった。新婚旅行は円安でもやっぱり海外? エイチ・アイ・エス<9603>は7日に10月期の中間決算を発表し、円安で採算が悪化し旅行事業が減益でも足元の業績は2ケタの増収増益で、610円高で値上がり率11位。結婚したら食生活が大事。料理レシピ専門サイトのクックパッド<2193>は7日に4期連続最高益更新という好決算を発表し、ストップ高の500円高で値上がり率3位に入った。(編集担当:寺尾淳)