動き出す プルサーマル発電再開へ

2013年07月03日 18:36

 原子力発電所の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜて、燃やす「プルサーマル発電」が、再開に向けて動き出した。関西電力<9503>が、27日使用済み燃料をフランスで再処理した、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を、高浜原発(福井県・高浜市)に搬入した。政府は、多くの課題を抱える核燃料サイクル政策を堅持する構えだ。

 プルサーマルとは、プルトニウムとウランを混ぜて、MOX燃料を通常の原子力発電所(軽水炉―カーマルリアクター)で利用すること。通常の原発で、MOXを燃料を使う、プルサーマル発電の再開時期は、原子力特別委員会の審査もあり、今のところ不明だ。国内原発へのMOX燃料搬入は福島第一原発事故後初となる。

 原発の規制基準が施行されて、来月8日以降、まず4電力会が12基(すべて加圧水型)の再稼働を申請する方針だ。うちMOX燃料を使う、プルサーマル発電を実施する可能性があるのは最大4基となる見込み。

 政府は、2015年度までに、16基~18基で、導入する計画だったが、規制基準では福島第一原発と同、26基ある沸騰水型の審査のハードルは高く、計画の実施は、困難とみられている。

 国内系原子力委員会によると、2011年時点のプルトニウム保有量は、国内と英仏瀬の保管分を合わせて、合計44.3トンだ。プルサーマル発電によるプルトニウムの消費量は、1基当たり0.4トン程度にすぎないのだ。核兵器にも転用できるため、政府は、「利用目的のない分は利用しない」ことを国際公約にしているが、履行までまだ課題が残りそうだ。

 プルサーマルでは、再処理で回収されるウランとプルトニウムをリサイクルするとエネルギーの有効活用につながる。(編集担当:犬藤直也)