JA共済連が先月オープンした子育て支援サイト、「はじめてママのお金のこと」が面白い。
同サイトでは母親400人に対し「一番上のお子さんにはどのような職業に就いてもらいたいと思いますか」と尋ねているのだが、最も多かったのは「子どもが選ぶなら何でもいい」で約6割。次いで公務員(市役所等の職員)が21.2%、薬剤師が16.2%、看護師が10.2%だった。子どもが望むならできる限り夢を叶えてあげたいとの思いがにじむが、資格系の人気も目立つ。
ではその夢を叶えるためには、実際にいくらかかるのか。サイトではさまざまな職業の「夢のねだん」がイラストとともに公開されている。2位の「公務員」に近いところでみると、「先生」になるには約1063万円かかる(大学まで国公立の場合)。それに対して「先生」の平均年収は約700万円だ。人気の薬剤師になるには約1510万円かかり、平均年収は約600万円。看護師になるには約740万円で、実際の年収は約450万円だ。
比較的費用が安いのは保育士で、約660万円。だが年収も約325万円と他の職業と比べて低い。興味深いのは俳優で、夢を実現するまでに約970万円かかるが、売れれば年収は約1億4000万円と高い(ただしドラマ出演、CM出演5本以上などの条件がつく)。
もっとも「夢のねだん」が高かったのは医師で、約4237万円だった。気になる年収は1000万円を超える。費用対効果をどう見るかは人それぞれだが、医師の「夢のねだん」は圧倒的だ。
作家の村上龍は10年前のベストセラー『13歳のハローワーク』で、現代社会に生きる人々が直面する大きな悩みを2つあげている。1つ目は「集団に入らなければ」という圧力。2つ目は、「でも何をすればいいのかわからない」という悩みだ。この「何をすれば」は、生きる意味や人生の目的といった曖昧なものではなく「仕事」に結びつくものであるという。確かに、私たちは常に何らかの集団に入らなければならないという圧力を感じている一方、「でもどんな仕事をすればいいのか分からない」と悩むことがある。
われわれ大人が子どもたちにできることはおそらく、多様な選択肢を提示すること、そして「夢のねだん」をしっかり用意しておくことくらいだろうか。(編集担当:北条かや)