今社会問題となっている「待機児童問題」を少しでも役に立とうと、企業や大学、病院などが積極的に施設の開放に立ちあがった。こうした「事務所内保育施設」解放の動きは、全国的な広がりを見せ、地域の個人施設などにも見られ、政府のいつになったら解決してくれるのか、見通しがない政策に一矢を報いた感じだ。
企業においては、自社従業員の仕事と子育てを両立してもらおうと、保育施設を設けているところが、東京都内だけでも約300ヵ所あるといわれている。その大半は、空きがあり、中には20人定員に2人しかいないところもあるという。現在自治体が、事業所と保護者の仲介役で施設を有効活用しているところもある。
1例を挙げると、約100平方メートルの広々とした保育施設。保育企業向けコールセンターのメディカライン(東京都・豊島区)である。オフィスから徒歩2分の場所にある「メディママ保育園」は定員10人の事務所内の保育施設。自社の社員の子どもを預かるため、3月末に開設したが、現在は3人しか利用せず、受け入れる余裕がある。このため8月から豊島区内の待機児童を受け入れることとなった。
人件費がかさみ、運営が厳しい事業所の保育施設で、社員が利用する場合の費用は、月4万8000円が一般的。
こうした企業保育施設に地域枠を設けることは、珍しく、こうしたことが実現されれば、自治体のモデルケースとして注目されよう。
大学関係では、早くから先例がある。順天堂大学である。附属病院で働く看護師らのため、「順天堂もとまち保育所」を運営、定員73人の内30人を受け入れた。区民向け保育料は、月6万円で、関係者より、2万3000円上回る。
東京都内の待機児童の数は、昨年4月で、7000人以上とみられ、今年はこれをさらに上回ると予想されており、1日も早い解決策が望まれる。(編集担当:犬藤直也)