「わたしの信認のために代表選をやったらどうかという意見があるが、それはあり得ない。代表選をやる時はわたしが退くとき」。民主党の海江田万里代表は26日午後の両院議員総会で言い切った。参加議員から党再建を図るには国民の目からみても再建への決意が分かるよう執行部は執行部として責任をとり、党の代表選を行うべきだの声に、こう言い切った。
代表を固辞するのはなぜか。海江田代表は冒頭あいさつで「2015年春の統一自治体選挙までに結果が目に見える形にしなければ(続投を)お願いすることはない」と語り、統一地方選に向けた動きが本格化する1年後に成果が現れていない場合には進退を考える姿勢を伺わせた。
しかし、これは1年の猶予の確保。その間に党への国民の信頼を取り戻すことに全力をあげるが、失敗すれば責任をとるということを示したもので、さきの総選挙・都議選・今回の参院選での大惨敗の責任は、ひとえに細野豪志幹事長が被り、一端、海江田代表の責任は棚上げ。党再建リーダーとして続投することを表明したに過ぎない。党内がそれでまとまっていくのかどうか、党執行部と海江田代表の求心力が党運営においては問われ続けることになりそう。
また、参加議員からはいきなり両院議員総会での意見のやり取りで公開のカメラの前で語らなければならないような状況にした執行部への不満も出た。両院議員総会を開く前に両院議員懇談会をなぜ開かなかったのか。国民の目を気にせず、もっと本音を曝(さら)け出して、崖っぷちに立たされている民主党の立場や再建のための言い争いでもいい、歯に衣着せぬ本音のぶつけ合いこそ必要だったろう、との思いが議員の発言には滲み出ていた。
総選挙・都議選・参院選の大惨敗は党再生半ばの結果や有権者からのお叱りや愛の鞭というより「退場を迫られたのではないか」と言い切る厳しい意見もあった。憲法改正を図るため、安倍総理が「年末にだって解散・総選挙に打ってでるかもしれない」と、1年とか3年とかかけて国民からの信頼回復をめざすという悠長なことを言っていていいのかと緊迫感や切迫感が衆議院議員からは見れた。
これら悲愴感にも似た声に海江田代表はどう応えていくのか。海江田代表は競争社会から共生社会へ、雇用や社会保障についてもしっかりした具体案を示していく方針だ。そのため、党内部だけでなく、党外部の知見を踏まえたシンクタンクを発足させるとした。
議員から要望された全国幹事長会議の開催について「出来るだけ早くに開く」とした。国政選挙への候補者を新たに発掘していく考えも示した。党の改革に一層取り組むことも語った。また議員300人規模のころの民主党を身の丈に合わせたスリムなものに、現況の120人規模にあった体制に見直しを図るとともに、代表選挙立候補に必要な推薦人数も現行の20人から「検討しなければならない」とした。
海江田代表は「党としての新体制を8月末につくりあげたい」考えだ。後がない民主党。海江田代表は「3年3ヶ月の(与党政権時代の)間に、国民の民主党に対する期待が失望に変わった。信頼が損なわれた」。そして「信頼回復への道半ば」と強調。道半ばとの受け止め事態がすでに甘いのではないか。断崖絶壁の淵に立たされている状況から、いかに国民に押し上げられていける党になれるのか。
国会議員の党でなく、国民の党になるための足がかりをはやく掴むべきだろう。労働団体に頼る地方組織づくりではなく、無党派の庶民が「応援するよ」と足を運び、「こういう政策を進めてほしい」と期待を寄せる庶民の集まりが組織を形成するような基盤づくりこそ、自民に対抗できる政党への1歩になるのだろう。それを期待したい。
政党公認候補に庶民が託したくなるような人材を得ることの努力も怠ってはならない。選挙に勝つのは候補者の魅力が第一だ。8月末の新体制、そして、地方での活動にどうのように取り組むのか注目したい。(編集担当:森高龍二)