会計検査院は、7月29日、被災3県の復旧・復興工事の内、昨年9月までの1年間で、21.1%の入札不成立だったとする検査結果を公表した。この数字は、東日本大震災の被災地復興事業の入札が、思うように進んでいないことを浮き彫りにしている。入札不調の理由として挙げられているのが、建設資材や、人手の不足。
入札不調は、復興を目指す被災地に暗い影を落とし、被災者の生活再建の遅れにつながるとして不安視されている。
会計検査院によると、予定価格1000万円以上の工事4538件(契約金額計5622億9170万円)の内、入札不調が発生したのは、全体の21.1%にあたる959件に上った。
宮城県石巻市雄勝地区にある大須漁港。未だに本格復旧工事が始まっておらず、津波で堤防を越え、港内に流れ込んだ消波ブロックが手つかずに残っている状態だ。今でも地震で1m地盤沈下したままの岸壁は、満潮時には冠水する。石巻市は、昨年7月漁港の堤防復旧と、岸壁のかさ上げを一括して発注しようとしたが、入札の参加業者はゼロ。その後工事の規模や条件を変えて、今年5月までに4回の入札を実施した。しかしいずれの入札にも参加者はいないため、不成立が続いている状況だ。
復興庁によると被災地の319港のうち、3月時点で、水揚げ機能が全て回復したのは36%と言う。一方地元業者が県外業者と、共同事業体(JV)と組んで入札に参加できる「復興JV制度」では、これまでに、宮城・岩手両県で、計100を超えるJVが入札参加に必要な登録を済ませた。
入札不調対策として導入された、昨年2月は伸び悩んだが、最近は増加傾向だという。検査院は、今後「復興JV制度」のさらなる活用や、入札要件を緩和している事例の、情報提供などの対策が必要としている。(編集担当:犬藤直也)