NYダウは31ドル高。7月の小売売上高は自動車、ガソリン、建設資材を除くコア指数は良くても総合指数は市場予測をわずかに下回るという微妙な結果で、長期金利が上昇し午前中はマイナスだったが、アトランタ連銀のロックハート総裁が「9月のFOMCで量的緩和縮小の計画を策定するのは時期尚早」と発言したので午後はプラスに浮上した。14日朝方の為替レートはドル円が98円台前半、ユーロ円が130円台前半で、それぞれ前日の朝より1円、円安が進んでいた。
日経平均は69.74円高の13936.74円で始まる。しかし節目の14000円にはタッチできず午前10時台に13900円をたびたび割り込み、11時をすぎ、TOPIXを置き去りに一気にマイナス圏まで急落した。ドル円が98円を割り込んだ後場はTOPIXも巻き込んで下げ幅をひろげ午後1時9分に13747円まで下げる。ところがそこから〃V字回復〃。ドル円が98円台に戻った2時前にプラスに浮上して13900円を突破し、2時30分すぎには14000円にタッチして定着。前日と同じく為替とセットの先物の仕掛け買いで急騰するパターンで、終値は183.16円高の14050.16円で2日連続高値引け。後場2時間足らずで303円も上昇した。TOPIXは+14.19の1171.34でこれも高値引け。売買高は22億株、売買代金は1兆8793億円で前日より多かった。
値上がり銘柄1363で東証1部の77.7%の銘柄が上昇して全業種プラス。上位は不動産、証券、精密機器、鉄鋼、保険、食料品など。下位は金属製品、パルプ・紙、石油・石炭、その他金融、倉庫、水産・農林などだった。
大幅高の日は日経平均プラス寄与度1~3位は「御三家」で決まり。合計で+46円押し上げた。マイナス寄与度トップは40円安のKDDI<9433>で-3円、45円安のキヤノン<7751>が-2円でそれに続いた。
メガバンクは揃って上昇。8月ずっと不振だった不動産と証券が大きく反発し、業種別騰落率の1位、2位を占める。三井不動産<8801>が70円高、三菱地所<8802>が64円高、住友不動産<8830>が175円高、野村不動産HD<3231>が83円高と不動産大手が買いを集め、証券は野村HD<8604>と大和証券G<8601>がともに24円高。
自動車株はトヨタ<7203>が80円高、富士重工<7270>が69円高、ホンダ<7267>が60円高など全面高。電機もソニー<6758>が33円高、東芝<6502>が7円高などおおむね堅調。東京電力は24円高で売買高、売買代金ともトップになった。中国の景気底入れ観測で鉄鉱石など資源関連株が世界的に上昇し、前日から資源株や鉄鋼株に人気が集まり新日鐵住金<5401>は6円高、神戸製鋼は売買高2位に入り6円高、JFEHD<5411>は70円高だった。しかし昭和シェル石油<5002>は大和証券がレーティングを引き下げて22円安になった。
ロイターがNTTドコモ<9437>のスマホ冬商戦で、ソニー、富士通<6702>、シャープ<6753>が「スリートップ」になりそうという趣旨の記事を配信し、ともに後場マイナス圏から浮上して富士通は18円高、シャープは8円高になった。サムスンを外して国産2社を投入した新布陣で、ドコモはアップルiPhoneを擁するソフトバンク<9984>とKDDIへの攻撃力を増強できるか。
その相手のアップルは有名投資家のアイカーン氏が株を大量保有していたという新しい話題を提供。フォスター電機<6794>、太陽誘電<6976>、村田製作所<6981>など関連銘柄が買われていた。同様のテーマ株物色で3Dプリンター関連も買いが向かい、MUTOHHD<7999>は62円高で値上がり率3位。群栄化学<4229>は36円高、ローランドDG<6789>は151円高だった。KADOKAWA<9477>は電子書籍のタイトルを来年1月までに6割増やすと日経新聞で報じられ80円高。電子書籍関連銘柄のスターティア<3393>、アスカネット<2438>も連れ高していた。
決算内容が良くて上昇したのが真空技術のアルバック<6728>の6月期本決算で、黒字転化した2013年6月期も今期の見通しも営業利益が市場予測を上回り54円高。マブチモーター<6592>は1~6月中間期の純利益が86%増で150円高。一方、悪かった代表が学研HD<9470>で、10~6月第3四半期の経常利益が44%減益で、高齢者福祉事業、子育て支援事業の先行投資コストが重く6円安。アミューズ<4301>は4~6月期の営業利益が56%減と悪く124円の大幅安で値下がり率6位。7~9月期はサザンオールスターズの活動再開効果が望めるが、株価は6月の復活発表時に織り込み済み。
眼鏡店チェーンのJIN<3046>は、東証1部に上場した5月まで2ケタ増が続いた既存店売上高が6月は+6.1%に落ち、7月はマイナスまで悪化したのを嫌気され130円安で値下がり率9位。前日から335円も下げた。消費者があきるのも早いが、投資家が見切りをつけるのも早い。小売や外食には「氷河期」を乗り越えられず消えていく店が少なくないが、SPAのビジネスモデルが注目された「眼鏡のユニクロ」はここで踏ん張れるか。
この日の主役は澁谷工業<6340>。300円高のストップ高比例配分で年初来高値を更新し値上がり率トップ。石川県金沢市が本社の主にペットボトルの充填機を製造するメーカーで、9日に発表した6月期決算は営業利益が3.2倍で今期も40%増益見通しと好調だが、製品名「3次元細胞積層システム」からの連想で3Dプリンター関連と再生医療関連のテーマ株に「ダブルで仲間入りできるか?」という思惑で人気が沸騰したらしい。(編集担当:寺尾淳)