【日経平均】上海市場の乱高下に翻弄されて終値13650円

2013年08月16日 20:17

 NYダウは225ドルの大幅安で続落。毎週木曜発表の新規失業保険申請件数は32万件で6年ぶりの低水準で、8月の雇用統計の改善が望めそうで「量的緩和縮小の早期開始」観測が強まり長期金利が2.77%まで上がり株価が下落するというメカニズム。NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数が低下、鉱工業生産は横ばいでいずれも市場予測を下回り、原油価格や金価格を上昇させているエジプト情勢の悪化や、シスコシステムズ、ウォルマートの決算が良くないことも株価を押し下げた。16日朝方の為替レートはドル円が97円台前半、ユーロ円が129円台後半でほぼ前日並みの水準。

 外資系証券の売買注文状況は3日ぶりに売り越しになり、日経平均は220.33円安の13532.61円で始まる。下げ幅を圧縮し、為替レートも安定しておおむね13600円台で推移するが、午前11時台に13600円を割り込んで前場終了。指数先物清算日の上海総合指数がマイナス圏から急騰した影響で後場は100円近く上昇して始まり、午後1時40分すぎには13700円台に乗せて前日終値まであと13円まで迫るが、2時をすぎると上海市場の下落と歩調を合わせて13600円台前半まで下げ、13650円前後でもみあって終値は102.83円安の13650.11円。猛暑、お盆の薄商いの中、2勝3敗でも前週末から34円上昇し今週の取引を終えた。TOPIXは-9.17の1142.65。売買高は18億株、売買代金は1兆6246億円で、今週は1度も2兆円を上回れなかった。

 値上がり銘柄426に対して値下がり銘柄は1184で全体の約3分の2を占めていた。業種別騰落率は鉱業、証券、サービスの3業種がプラス。マイナス幅が小さい業種は不動産、空運、医薬品など。大きい業種はパルプ・紙、保険、非鉄金属、鉄鋼、電気・ガス、水産・農林などだった。

 日経平均寄与度はプラスもマイナスも分散し、マイナス寄与度上位はソフトバンク<9984>-8円、KDDI<9433>-7円、ファーストリテイリング<9983>-4円。プラス寄与度上位は富士重工<7270>とオリンパス<7733>が-1円台、東京建物<8804>以下は-1円未満だった。

 メガバンクも野村HD<8604>もマイナスだったが、大和証券G<8601>は3円高でSBIHD<8473>は38円高、松井証券<8628>は4円高、マネックスG<8698>も値上がり率11位と証券セクターは悪くなく業種別騰落率でもプラスになっていた。JPX<8697>も170円高。自動車大手、電機大手はマイナスになった銘柄ばかりでプラスは富士重工の40円高、マツダ<7261>の1円高、ダイハツ<7262>の10円高、富士電機<6504>の3円高、横河電機<6841>の5円高ぐらいしかなかった。

 不動産セクターでは、住友不動産<8830>は前場のマイナスから後場浮上して10円高。東京建物は来期12月期決算でSPC(特別目的会社)を連結決算に入れて営業利益を100億円上乗せすると報じられ22円高。東急不動産<8815>は6円高。ケネディクス<4321>は売買高8位、売買代金11位と買いを集め28円高で値上がり率8位だった。126億円の第三者割当増資を実施する大和ハウス工業<1925>は希薄化懸念で14円安になっていた。

 亀田製菓<2220>は野村証券が投資判断を引き上げて202円高で値上がり率6位。米菓のメーカーなので農業・TPP関連銘柄としても買われている。その農業に関して高品質米の自動生育システムを開発したという材料が出たトプコン<7732>は26円高。ゼリア新薬工業<4559>は「丸山ワクチン」と同成分のがん治療薬をアジアで展開するため子宮頸がんの治験を行うと報じられ、137円高で年初来高値を更新し値上がり率5位に入った。iPS細胞シートの量産装置を開発したという澁谷工業<6340>は500円高でストップ高、値上がり率1位が3日連続している。

 グリー<3632>は前場の86円高の天国から後場の46円安の地獄に逆落としで、終値43円安で値下がり率4位。前日の減収減益減配で値上がり率2位とは話がうますぎた。それを横目にDeNA<2432>は129円高で値上がり率9位と続伸していた。

 この日の主役は業種別騰落率がプラスで1位になった「鉱業セクター」。東証1部では7銘柄しかなく、この日の星取は5勝1敗1分。国際石油開発帝石<1605>はその中心的な存在で1.28%上昇して5500円高だった。110円高の石油資源開発<1662>、60円高の日本海洋掘削<1606>は国際帝石同様に日本近海で海底油田・天然ガス田開発の話題が出るたびに買われるが、この日はそのニュースはなかった。8月に入ってから中国の景気底入れやエジプト情勢の悪化で資源価格が上昇しているため、鉱業、非鉄金属、石油・石炭などの資源関連銘柄は揃って上昇している。(編集担当:寺尾淳)