川崎重工、中・大型バイクで約15年ぶり中国に進出

2013年08月18日 14:27

 Kawasakiのラインナップには、国内マーケットの多くを占める50ccクラスや実用車およびスクーターがない。それはあくまで付加価値の高い中・大型バイクをメインとしているためで、そのことによってバイク愛好家からは独特なブランドイメージを持たれている。

 川崎重工<7012>は、同社の中国現地法人を通じて、中国における二輪車の販売を開始すると発表した。

 世界有数の二輪車市場である中国は、近年の経済発展に伴い、顧客の趣味・嗜好が多様化しつつあり、同社は「二輪車をレジャーとして楽しむ」富裕層の増加が見込まれるとしている。

 同社は1990年代に現地企業と合弁で小型バイクを現地で組み立て販売をしていたが、業績不振で撤退した経緯がある。そうした経験から今回は中・大型バイクに特化する。また、97年からは二輪のエンジンを現地企業と合弁で製造したが、それも2000年に中止している。直近だと昨年、現地の二輪大手・ロンシン社と提携し製造販売する方針を打ち出したが、結果的に合意に至らず取りやめとなった。

 そのような紆余曲折をへて、今回は、同社のフラッグシップモデルの「Ninja ZX-14R」をはじめ、ミドルサイズスポーツモデル「Ninja 650」や「ER-6n」、世界戦略車である「Ninja 250」や「Z250」など、中・大型モデルを中心に順次、二輪車の販売を開始していくという。販売開始後5年以内に年間5千台規模の販売を目指すとしている。

 ライバルとなるスズキ<7269>は12年より、中型バイクの生産・販売を現地で開始しており、大型バイクについても日本から輸出して販売する。またヤマハ発動機<7272>も08年より中・大型バイクを販売しており、今回の川崎重工の進出は、3社目となる。

 中国の二輪マーケットはインドに次ぐ世界第2位の規模だが、日中関係の悪化や、現地メーカーの低価格バイクの攻勢で日系メーカーは苦戦している。そのような環境の中での、川崎重工の中国への再進出はバイク業界も注視している。(編集担当:久保田雄城)