メルセデス・ベンツSクラスが8年ぶりとなるフルモデルチェンジを受けて新型にスイッチした。日本導入モデルは5車種だ。ラインアップは以下のとおり。
S400ハイブリッド:1090万円・S400ハイブリッド・エクスクルーシブ:1270万円・S550ロング:1545万円・S630AMGロング:2340万円・S630AMG4マチック・ロング:2340万円
この新型Sクラスのラインアップを見て分かるように、ショートホイールベース(といっても3mを超える)版にはハイブリッド仕様しかなく、ほかのモデルはすべてロングホイールベースのロングボディだけとなる。つまり、当面のメルセデスSクラスで、オーナードライバー向けのモデルはハイブリッド車であるS400だということ。他のロングボディモデルは、完全にショーファーカーとして、運転手付き用途に絞り込んだ車種設定といえる。
主要な新機構を見ても、新型Sクラスが完璧に「ショーファーカー」を目指したことがわかる。まずはミリ派レーダーとステレオカメラを駆使してクルマをコントロールする「インテリジェントドライブ」だ。このシステムは基本的に安全装備として開発されてきたが、今回の乗員のための「マジックボディコントロール」として応用した。ステレオカメラが得た15m前方の路面の凸凹情報を瞬時に解析してサスペンションをコントロール、常にフラットで快適な乗り心地を(後席乗員にも)提供するというもの。
また、ショーファーパッケージでは、後席が最大43.5度までリクライニングが可能。加えて後席から助手席を前方に送り出し後席居住空間を拡大、助手席ヘッドレストまで収納出来る、まるで日本車のような装備も備わる。ほかにもリアセーフティパッケージやホットストーン式マッサージ機内蔵シート、ファーストクラスパッケージなど、後席のための装備は多彩だ。
このSクラスのモデルチェンジで分かったことは、当面Sクラスは完璧なショーファーカーを標榜し、オーナードライバーにはEクラスで対応するというマーケティング手法でメルセデスが臨むと言うことだ。
確かにこの5月にモデルチェンジに匹敵する大規模なマイナーチェンジを実施したEクラス。そのラインアップはセダン12車種(595万円〜1780万円)、ステーションワゴン9車種(630万円〜1817万円)。その後追加された2ドアクーペ3車種(669万円〜1145万円)、カブリオレ2車種(699万円〜923万円)である。何とそのシリーズ合計で26車型に及ぶ。それらにパッケージオプションなどを加えるとEクラスは無限の選択肢を提供していると思える。日本の自動車メーカーでは考えられないフルラインアップ態勢だ。
ちなみに、どうしてもSクラスを運転したいという個人オーナー向けのS400ハイブリッドのパワートレーンは、3.5リッターV型6気筒エンジン(出力&トルク306ps/37.7kg.m)に出力&トルク27ps/25.5kg.mの電気モーターを組み合わせる。先行して発売されていたEクラスのハイブリッドとほぼ同一のシステムだ。時速35km/hでエンジンを切ってモーターだけの走行も可能で、欧州基準の総合燃費は15.9km/リッターを達成し、従来比20%ほどの燃費改善となっている。日本では「エコカー減税」の恩恵が受けられる。(編集担当:吉田恒)