【日経平均】東京五輪決定で344円高、14200円台乗せ

2013年09月09日 20:16

 前週末6日のNYダウは14ドル安。取引開始直後、ロシアのプーチン大統領の「攻撃が始まってもシリア支援は続ける」という発言が伝わり150ドル近く急落。一方、8月の雇用統計は失業率が7.3%で前月や市場予測の7.4%より0.1ポイント少なく改善していたが、非農業部門雇用者数の伸びは16.9万人で、前月の10.6万人よりは多いものの市場予測の18万人を1万人以上も下回り、6、7月の雇用者数データも下方修正された。前座の雇用関係の指標がおおむね良かっただけにネガティブサプライズかと思いきや、17~18日のFOMCで量的緩和縮小延期にはならなくても「縮小ペースはゆるやかになる」という観測で急速に値を戻し、一時15000ドルの大台を回復する場面もあった。終盤は再びシリア情勢を懸念した週末のポジション整理売りが入り、結局マイナスになった。

 オーストラリアでは7日の総選挙で政権交代。日本時間8日早朝に2020年オリンピックの「東京開催」が決定し、午前8時50分に発表された4~6月期の実質GDP成長率改定値は速報値の年率換算2.6%を大きく上回る3.8%というポジティブサプライズ。それを受けて9時直前にドル円レートは99円台半ばから円安が急進して100円を突破し、為替レートはドル円は100円近辺、ユーロ円は131円台後半になっていた。

 東京オリンピック決定でどこまで上がるか注目の日経平均は280.86円高の14141.67円と14000円をあっさり突破して始まる。オリンピック関連銘柄を中心に取引が成立しない買い気配の銘柄が多く、値がつくにつれ14200円台に乗せた。しかし14251円をピークに上値を抑えられて14100円台に逆戻りし、前場はそのまま推移した。ドル円が99円台に戻ったこと、前週に「東京決定」の結果を先取りした上昇がみられたこと、GDP成長率の大幅上方修正で「来年4月の消費税3%アップは不可避」観測が強まったこと、さらにアメリカの雇用統計の悪さやシリア攻撃懸念などが影響して「五輪決定効果」を抑え込む。1時20分すぎから14200円にタッチするが、そのまま大引けまでずっと小動きを続けて終値は344.42円高の14205.23円。TOPIXは+25.18の1173.00だった。

 売買高は29億株、売買代金は2兆1007億円で2兆円台は8月9日以来、暦月で1ヵ月ぶり、営業日で21日ぶりだった。意外だったのは夏枯れ相場から続く低位株、超低位株トレードが盛り上がったことで、外国人買いがそれほど入らず、その代わりにムードに浮かされた個人投資家の「イッチョカミ」が多かったと思われる。終値300円未満の銘柄が売買高20位以内に9銘柄、値上がり率20位以内に6銘柄も入っていたが、記念の小遣い銭稼ぎはできただろうか。夏の薄商いと株価低迷が長かったせいもあるが、「安物をご祝儀買い」とは何ともシケた東京市場だった。

 値上がり銘柄1624に対し値下がり銘柄は94。それでも東証1部33業種別騰落率ではその他製造が唯一マイナスだった。プラス上位は不動産、建設、倉庫、サービス、鉄鋼、陸運など。下位はゴム、輸送用機器、水産・農林、精密機器、化学などだった。

 日経平均225種のマイナスは、90円安で値下がり率17位の信越化学<4063>、149円安で一時ストップ安・年初来安値更新・値下がり率1位のSUMCO<3436>と5円安のオリンパス<7733>の3銘柄しかなかった。業績見通しを大幅下方修正したSUMCOの下落に同じシリコンウエハーつながりで信越化学がお付き合いした。一方、プラスのほうはファーストリテイリング<9983>が寄与度トップ、ファナック<6954>が2位で、合わせて日経平均を64円押し上げた。

 6日大引け後に日本経済新聞社から発表された日経平均採用銘柄の入れ替え(定期見直し)は、毎回候補に挙げられ野村證券がプッシュしていた日東電工<6988>と東急不動産HD<3289>がIN、2ケタ低位株だが市場流動性が乏しい三菱製紙<3864>と東急不動産<8815>がOUTだった。本命視されていた任天堂<7974>もJPX<8697>も落選した。売買代金7位の日東電工は550円高、三菱製紙は値動きなし、任天堂は990円安で値下がり率2位、JPXは110円安。東急不動産HDは10月1日に設立と同時に上場し翌日に日経平均採用銘柄になり、その傘下に入るので9月中に上場廃止になる東急不動産は58円高、東急リバブル<8879>は125円高、東急コミュニティー<4711>は265円高だった。

 この日の主役はやはり東京五輪関連。売買高ランキング上位では大手ゼネコンの大成建設<1801>が3位、鹿島<1812>が10位で、三井住友建設<1821>が2位、太平洋セメント<5233>が6位、日本橋梁<5912>が8位と建設関連株が勢揃い。売買代金ランキングでは9位に205円高の三井不動産<8801>、11位に126円高の三菱地所<8802>、19位に215円高の住友不動産<8830>と、不動産大手3社が大幅高で揃い踏み。

 値上がり率ランキングを見ると、建設株が1位の鉄建<1815>、2位の東急建設<1720>、5位の巴コーポレーション<1921>、不動産関連株が8位のフージャーズHD<3284>、10位のランド<8918>、11位のトーセイ<8923>、13位のケネディクス<4321>、15位のサンフロンティア不動産<8934>、ベイエリア含み資産関連株が3位のその名もCVSベイエリア<2687>、4位の川崎ベイエリアに土地を持つ日本冶金工業<5480>、7位の澁澤倉庫<9304>、9位の大井競馬場の東京都競馬<9672>、14位の川崎競馬場のよみうりランド<9671>と、まさにオリンピック関連銘柄の顔と顔。ストップ高と年初来高値更新のラッシュだった。

 面白いのは小売のOlympicG<8289>の朝方一時46円高の急騰ぶりで、関係があるのは名前だけなのにご祝儀相場のご愛嬌。しかしオリムピック釣具とマミヤ光機が合併した東証2部のマミヤOP<7991>は15円高どまりで、イニシャルではダメらしい。(編集担当:寺尾淳)