【日経平均】アップダウンの末に17円高のメジャーSQ

2013年09月13日 17:48

 NYダウは25ドル安で4日ぶりに反落。シリア危機回避によるリスクオンも一段落し、アップルの話題も尽き、大きな経済指標もなく、FOMC待ちの様子見ベースの相場だった。13日朝方の為替レートはドル円は99円台後半、ユーロ円は132円台前半だった。

 3ヵ月に1度、先物もオプションも特別清算値を算出するメジャーSQの日が来たが、五輪効果による先高観で日経平均先物は前日まで9月限から12月限へのロールオーバーが進み、混乱は起きないとみられていた。日経平均は70.57円安の14316.70円で始まる。午前9時4分頃にSQ値14323.29円が出て、「五輪プレミアム」がついたか9月末の配当権利落ち予想分約70円を考えると意外に高い。その直後にTOPIXに続き日経平均もプラスになり14400円台を回復。しかし、14000円台前半のレンジで小動きだった日経平均が10時を回るといきなり下落が始まってマイナスまで落ち、10時台後半にいったんプラスまで戻しながら11時台にはまたマイナスに。SQ値が出ても需給面のアクはまだ抜けていないようだ。

 政府の9月の月例経済報告は景気判断を2ヵ月ぶりに「緩やかに回復しつつある」と上方修正したが、後場は14300円を割り込んで一段安になり14233円まで下げ、その後は14300円をはさんで推移する。7月の鉱工業生産指数は97.9で、速報値の97.7から0.2ポイント上方修正された。その発表があった午後1時30分すぎから日経平均はドル円の円安進行に伴いマイナス幅を圧縮。2時20分頃にはプラスに浮上した。オバマ大統領がFRB次期議長にサマーズ元財務長官で最終調整という日経の速報が買い材料で、ドル円は99.97円まで円安が進んだ。それでも14000円をはさんで一進一退が続いた後は再びマイナスに沈むというあわただしさ。やはり三連休前の金曜日は利益確定売りがきつく、日経の報道をロイターもブルームバーグも後追いしないようではダメかと思いきや、なぜか大引け1分前にプラスに滑り込んで17.40円高の14404.67円で終了。1円高で辛勝の日もあったが前週と同じ星取の4勝1敗、前週末に比べて543円上昇して、五輪、五輪の今週の取引を終えた。日中値幅は206円と大きかった。TOPIXは+0.92の1185.28。売買高は36億株、売買代金は2兆7297億円で、メジャーSQの日にしては盛り上がりを欠いた。

 TOPIXはギリギリでプラスでも値上がり銘柄1002に対し値下がり銘柄は610。業種別騰落率も19対14で全体的に堅調だった。上昇はパルプ・紙、ゴム、水産・農林、その他金融、倉庫、小売など。下落は海運、鉱業、鉄鋼、空運、ガラス、石油・石炭などだった。

 プラス寄与度トップはファーストリテイリング<9983>で+8円、マイナス寄与度トップはソフトバンク<9984>で-7円という綱引き。メジャーSQは以前から「御三家」の晴れ舞台で、売買代金ランキングの2位、3位、6位に入っていた。

 前日と同じくメガバンクは3銘柄3様。自動車株もトヨタ<7203>は終盤プラスになり10円高でもホンダ<7267>は30円安とまちまち。自動車部品のデンソー<6902>はドイツの研究拠点に27億円を投資するというニュースがあり、SMBC日興証券が新規に買い推奨のレーティングをつけて80円高と上昇していた。

 日立<6501>、東芝<6502>、ソニー<6758>の中小型液晶パネル事業を統合し、政府系ファンドの産業革新機構が出資して設立されたジャパンディスプレイが今年度中に東証に上場し2000億円を調達すると日経新聞が大きく報じた。日立は2円高、東芝は4円安、ソニーは7円安で反応薄。時価総額7000億円規模の大型上場は来年2月頃で直接第1部とみられる。同社はスマホ用液晶パネルの世界シェア約20%でトップだが、IGZO液晶のシャープ<6753>や有機ELで突っ走る韓国のLG電子は15%程度で現状そんなに差はなく、増産投資でシェアの差をひろげるのが上場の目的とみられる。置いていかれる側のシャープは前日からの公募増資への嫌気も尾を引いて16円安で値下がり率7位と売り込まれ、4日続落した。

 五輪関連の建設株は、大手は利益確定売りでも低位の銘柄は引き続き買われるという状況。東京ドーム<9681>は前日発表した中間期決算が経常利益22.2%増益と良く14円高。7年後はコンサートなどイベントが頻繁に開かれそうだ。人材派遣関連はヒト・コミュニケーションズ<3654>はこの日も300円のストップ高比例配分で値上がり率3位と買いの勢いが衰えず、大手のアウトソーシング<2427>、フルキャストHD<4848>、テンプHD<2181>も上昇。学情<2301>が56円高と買われて値上がり率19位に入ったのは、7年後に向けて大学新卒者の採用が大きく復活という読みだろうか。中途採用のほうのリブセンス<6054>も240円高と大きく上昇した。どん底の新卒採用に泣き、「就職先がないよりまし」と入ったのがブラック企業でまた泣かされた若者も、東京五輪がチャンスをくれるかもしれない。

 ツイッターが上場するニュースが伝わり、それに出資するジャスダックのデジタルガレージ<4819>が急騰してストップ高で年初来高値更新。セブン&アイHD<3382>は8月中間期の営業利益が過去最高と報じられ40円高。セブンイレブンの大量出店が論議を呼んだが夏場は猛暑効果でコンビニ部門は好調だったという。この日、東証マザーズにサンワカンパニー<3187>が新規上場し、公開価格950円に対して初値がつかず2185円の買い気配で終了。タイル、ウッドデッキなど輸入建材をネット販売する企業だが、住宅市場は、消費増税後の引き渡しでも消費税が3%ですむ契約期限の9月30日が迫っていて、今週末、来週末の三連休は駆け込み成約のピークになりそうだ。

 この日の主役は「東京港エリア」関連銘柄。築地市場の水産荷受け大手の東都水産<8038>は競技会場が集中する東京港周辺に冷凍倉庫や貸ビルを所有する点が五輪関連とみなされ、一時ストップ高の46円高で年初来高値を更新し値上がり率トップになった。地元の築地は早々と「東京五輪のヘソ」を宣言して盛り上がるが、築地市場が2016年3月に豊洲に移転後の跡地利用計画はまだ決まっていない。選手村ができる晴海、大井、川崎臨海部などに倉庫を持つ東洋埠頭<9351>も63円高で年初来高値を更新し値上がり率2位になっていた。1991年に都庁が新宿に移転した頃はよく「東京の重心は西に移った」と言われたが、オリンピック開催で再び「東」の重みが増しそうだ。