【日経平均】量的緩和縮小延期で為替が円高でも260円高

2013年09月19日 20:20

 量的緩和縮小延期で金価格が急騰し、菱刈鉱山を所有する住友金属鉱山<5713>は92円高。長期金利は東京市場でも下落し、金利敏感株のその他金融のノンバンクや不動産が買われた。不動産は大引け後に国土交通省から基準地価が発表されるのを控えた先取り買いも加わり、三井不動産<8801>が120円高、三菱地所<8802>が127円高、住友不動産が250円高と3ケタ高で揃った。

 建設株は17円高で値上がり率10位の三井住友建設<1812>が4億8000万株も取引され売買高、売買代金とも1位だったが、この日は東京五輪以外に磁気浮上式「リニア中央新幹線」という新テーマが浮上。JR東海<9022>が前日、路線や駅の位置から料金まで発表した。大部分がトンネルや大深度地下になるため、値上がり率ランキングでは2位に熊谷組<1861>、3位に日本基礎技術<1914>、5位に飛島建設<1805>、6位に西松建設<1820>、16位に安藤ハザマ<1719>と、土木、トンネル工事に強い銘柄がずらり並んだ。12位のヤマウラ<1780>は長野県飯田市の中間駅に近い駒ヶ根市が本社の建設会社で、9位の植木組<1867>の本社は新潟県柏崎市だが長野県でも北陸新幹線などの工事実績がある。リニアはJR東海ほぼ単独で約9兆円を負担し、2027年に品川-名古屋間が開通する予定だ。

 再上場から1周年のJAL<9201>は経営破たん時に撤退した10路線を復活させると発表し110円高で3日続伸。再上場初値の3810円から1年で54.9%上昇し終値は5900円だった。「東京ゲームショウ」がこの日から千葉市の幕張メッセで始まり、出展はスマホゲームが4割を占めるが、「家庭用ゲーム機の復権なるか」も注目。「アトラス」のゲームを狙いインデックスを買収するセガサミーHD<6460>は147円高と買い直され、コナミ<9766>も120円高だったが、この2銘柄がこの日、買われた要素はむしろカジノ。ブルームバーグが、東京で開催中の国際会議で世界的なカジノ運営企業が日本進出に向けた具体的な投資計画を明らかにしたと報じ、日本金銭機械<6418>が206円高で年初来高値を更新して値上がり率14位に入り、オーイズミ<6428>も71円高になるなど、おなじみカジノ関連銘柄も上昇していた。

 この日の主役は為替の円高にもかかわらず業種別騰落率トップになった鉄鋼株。新日鐵住金<5401>は売買高6位の19円高で年初来高値を更新した。今期、有利子負債を1200億円圧縮する計画を明らかにし、大型投資に備えて財務を強化する。負債資本倍率(DEレシオ)は期末でJFEHD<5411>とともに1倍を割る見込み。そのJFEHDは138円高で、2銘柄とも値上がり率が5%を超えた。神戸製鋼<5406>は6円高。派手に上がったのが日本冶金工業<5480>で、値上がり率8位の14.7%上昇、46円高で5日続伸。売買高7位、売買代金14位と買いを集めていた。新型戦闘機に高機能合金を供給するほどの技術力を持つステンレスメーカーで、兜町で羽田空港特区構想の「ライフイノベーション地域」に隣接する川崎製造所の含み資産ばかり注目されるのは不本意かもしれない。(編集担当:寺尾淳)