【今週の展望】日経平均は15000円台に乗せて定着できるか

2013年09月23日 20:13

 「9月になれば」……日銀金融政策決定会合(4~5日)、G20サミット(5~6日)、アメリカの雇用統計発表(6日)、オリンピック開催地決定(7日)、実質GDP成長率確定値発表(9日)、アップル新型iPhone発表会(10日)、メジャーSQ(13日)、FOMC(17~18日)……シリア攻撃するかしないか気をもませ、東京五輪決定で沸き、NTTドコモ<9437>のiPhone取り扱い開始で騒がれ、イプシロンロケット打ち上げやリニア中央新幹線が科学技術立国の夢をかき立て、台風が上陸して洪水を引き起こす……まるで、夏休みが終わった高校生が2学期の始業式の翌日からわずか半月余りで、体育祭と文化祭と修学旅行と中間テストを一度にやってしまったかのような9月のイベントラッシュは、今週でようやく一段落した。

 その間に、東京五輪決定後の株式市場のシナリオとして想定した第1段階の「ご祝儀買い」はすでに終わっている。現在は第2段階の「五輪関連銘柄買い」の第1ラウンドが終わったところで、東京ベイエリア含み資産関連、人材関連、観光関連、カジノ関連、スポーツ関連などさまざまな銘柄に入れ替わり立ち替わりスポットライトが当たって、目まぐるしく動いている。

 しかし、FOMCの結果待ちもあり外国人投資家の買いはいまだ本格化せず、7年後を展望して海外から年金資金など〃筋のいい長期資金〃が入って日本株を支えるという、最も待望される第3段階の「日本買い」は、まだ先になりそうだ。安倍首相が17日に「今の日本は買い」と発言したのは、「東京港に倉庫がある銘柄は思惑買いで株価が上がりますから買い」などではなく、この第3段階のことを指しているはず。その安倍首相は来週、NY証券取引所で講演して、「ロング・ジャパン(日本を買い持ちしてください)」というトップセールスを展開する。

 さて、秋の彼岸休み明けの来週は、注目のイベントも、株価に大きな影響を及ぼしそうな経済指標の発表もない谷間の週になる。「毎日毎日、ランキング表は建設会社ばっかし。いい加減もう飽きた~」という感想に加えて今週までのイベント続きの疲れも出て、「中だるみでダレて下落」を予想する向きもありそうだが、お楽しみはこれからだ。

 値動きが激しい日があっても、株価の水準は着実に底上げしている。毎日の日経平均の終値ではなく安値をたどってみると、五輪決定後に下落したのは12日、13日の2日だけで、今週は終値こそ2勝2敗だが安値は前日比4戦全勝で上昇し続けた。それはTOPIXも同様だった。「あっ、下がった」と思ってもすぐに下げ止まりリバウンドする株価指数の底値の堅さは、もっと注目されていい。

 それは、オリンピック騒ぎの陰で、株価を押し下げる悪材料がどんどん消えていく状況を反映している。シリア攻撃はロシアのとりなしで避けられ、次期FRB議長レースからサマーズ元財務長官が自ら身を引き、FOMCは量的緩和政策の縮小を開始しなかった。消費増税の悪影響を相殺する法人減税も具体化してきた。そうやって懸念がどんどん薄らいでいくから安値が底堅くなる。今週19日などは為替が1円程度円高に振れようとお構いなしに輸出関連の主力株が堅調な動きを見せて先物売りの影響が目立たなくなるという、〃健康的〃で頼もしい現象も見られた。

 日経平均の安値は、9月第2週は399円、2.9%上昇し、第3週の今週は469円、3.3%上昇した。来週は25日の権利付き最終売買日に向けて中間配当取り、株主優待取りの買いが入り、その分が26日の権利落ちで下落するぐらいで、大きな懸念材料がない。権利確定イベント分を差し引いて、安値の上昇が第2週のそれよりペースが鈍い2.5%と仮定しても、27日は15069円と出て安値ベースでも15000円の大台に乗る。つまり、来週のお楽しみとは「15000円チャレンジ」で、ただタッチするだけでなく、終値ベースでしっかり定着できるかどうかが試されるだろう。

 日経平均15000円台は、7月の戻りザラ場高値(14953円)でもタッチできなかった水準。乗せれば高値では5月24日、終値では5月22日以来になる。ということは、数字の上では5月23日の大暴落の悪夢を払拭できることを意味する。忌まわしいあの日以降、多くの個人投資家が株式市場やアベノミクスに対する呪いの言葉を吐きながら去っていくのをイヤというほど見てきた市場関係者にとっては、悲願がかなう。

 ということで、20日の安値14702円を下限に、それに今週の安値の上昇率3.3%を掛けた15187円を上限に想定して、来週の日経平均終値の変動レンジは14700~15200円とみる。あの日から4ヵ月で、暗い過去に訣別できるだろうか。(編集担当:寺尾淳)