前週末6日のNYダウは14ドル安。取引開始直後、ロシアのプーチン大統領の「攻撃が始まってもシリア支援は続ける」という発言が伝わり150ドル近く急落。一方、8月の雇用統計は失業率が7.3%で前月や市場予測の7.4%より0.1ポイント少なく改善していたが、非農業部門雇用者数の伸びは16.9万人で、前月の10.6万人よりは多いものの市場予測の18万人を1万人以上も下回り、6、7月の雇用者数データも下方修正された。前座の雇用関係の指標がおおむね良かっただけにネガティブサプライズかと思いきや、17~18日のFOMCで量的緩和縮小延期にはならなくても「縮小ペースはゆるやかになる」という観測で急速に値を戻し、一時15000ドルの大台を回復する場面もあった。終盤は再びシリア情勢を懸念した週末のポジション整理売りが入り、結局マイナスになった。
オーストラリアでは7日の総選挙で政権交代。日本時間8日早朝に2020年オリンピックの「東京開催」が決定し、午前8時50分に発表された4~6月期の実質GDP成長率改定値は速報値の年率換算2.6%を大きく上回る3.8%というポジティブサプライズ。それを受けて9時直前にドル円レートは99円台半ばから円安が急進して100円を突破し、為替レートはドル円は100円近辺、ユーロ円は131円台後半になっていた。
東京オリンピック決定でどこまで上がるか注目の日経平均は280.86円高の14141.67円と14000円をあっさり突破して始まる。オリンピック関連銘柄を中心に取引が成立しない買い気配の銘柄が多く、値がつくにつれ14200円台に乗せた。しかし14251円をピークに上値を抑えられて14100円台に逆戻りし、前場はそのまま推移した。ドル円が99円台に戻ったこと、前週に「東京決定」の結果を先取りした上昇がみられたこと、GDP成長率の大幅上方修正で「来年4月の消費税3%アップは不可避」観測が強まったこと、さらにアメリカの雇用統計の悪さやシリア攻撃懸念などが影響して「五輪決定効果」を抑え込む。1時20分すぎから14200円にタッチするが、そのまま大引けまでずっと小動きを続けて終値は344.42円高の14205.23円。TOPIXは+25.18の1173.00だった。
売買高は29億株、売買代金は2兆1007億円で2兆円台は8月9日以来、暦月で1ヵ月ぶり、営業日で21日ぶりだった。意外だったのは低位株、超低位株トレードが盛り上がったことで、終値300円未満の銘柄が売買高20位以内に9銘柄、値上がり率20位以内に6銘柄も入っていた。「安物をご祝儀買い」とは何ともシケた東京市場だった。
東証1部33業種別騰落率ではその他製造が唯一マイナスだった。プラス上位は不動産、建設、倉庫、サービス、鉄鋼、陸運など。下位はゴム、輸送用機器、水産・農林、精密機器、化学などだった。
9日のNYダウは140ドル高で8月23日以来の終値15000ドル台を回復。ケリー国務長官が「シリアが全ての化学兵器を来週中に国際社会に引き渡せば攻撃を回避できる」と発言し、ロシアのラブロフ外相が化学兵器を国際管理下に置くように要請するとシリアが前向きな姿勢を見せるなど、軍事行動回避に結びつく動きをマーケットは歓迎。輸出が2ヵ月連続で回復の中国の経済指標の改善、長期金利の落ち着きもあいまって大幅高。10日朝方の為替レートは、ドル円は99円台半ば、ユーロ円は131円台後半で、ドル円は前日夕方とあまり変わらない水準だった。
日経平均は113.49円高の14318.72円と続伸で始まる。14300円台を守れない場面もあったが午前9時30分頃から値を切り上げ10時前に14400円台にタッチ。その後はいったん13300円台半ばに戻すが底堅く推移し、後場の午後1時10分頃からは14400円付近で小動きの展開に。大引け9分前に14441円の高値を取り、終値は218.13円高の14423.36円。TOPIXは+17.22の1190.22だった。売買高は42億株で6月7日以来の40億株台、売買代金も2兆4412億円と増加した。
鉱業1業種が下落。上昇セクター上位は建設、海運、倉庫、保険、空運、その他金融など。下位は電気・ガス、石油・石炭、水産・農林、化学、パルプ・紙などだった。