17~18日に開催されていた定例会合後、米連邦公開市場委員会(FOMC)は、毎月850億ドルの債券を購入する今のペースを維持し続けるとの声明を発表。市場の予測では、購入額が縮小されるのではないかという見方が強かったが、金融当局は「購入額の縮小には、さらなる景気回復の証拠が必要」としている。
記者会見の席でバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「現在の労働市場の状態は、我々が望んでいるものとはほど遠い状態にある」とコメントし、「委員会としては、ここ最近の金融状況の急速な引き締まりにより、景気が減速する可能性を懸念している」と述べた。
バーナンキ議長率いる金融当局の関係者らは、借り入れコストの上昇により景気減速の傾向が見られることから、購入金額の縮小を見送った。バーナンキ議長が「購入額縮小」について初めて触れた5月以降、米国債利回りは上昇し続けている。金融当局のバランスシートは3兆6600億ドルで、2007年8月の8690億ドルから大きく拡大している。
バーナンキ議長は記者会見でさらに、購入額を縮小するかどうかはデータ次第とし、「事前に決まった予定などはないことを強調したい」とコメント。「我々の基本予想をデータが裏付けてくれれば、今年中にも縮小を開始することは可能だ」と語った。
また米連邦公開市場委員会は、失業率が6.5%以上、この1~2年先のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想されている限りは、政策金利をゼロに近い値にとどめ続ける方針も発表。08年12月以来続けられている、事実上の「ゼロ金利政策」を継続する姿勢を示した。
バーナンキ議長は「ゼロ金利政策」の利上げに関して、「失業率が6.5%を大きく下回らない限り、それは実行されない可能性もある」と述べた。
6月にバーナンキ議長が、労働市場が予想通りに改善され、物価も目標とする年率2%へと順調に推移していれば、購入額を今年の後半ごろから縮小し始め、来年の半ばごろにそれを終えるとの見通しを示していたため、専門家の多くが今回の会合で縮小開始が決定されるのではないかと予想しており、注目が集まっていた。(編集担当:滝川幸平)