シリアが米国の軍事介入か否かで緊迫した状況になっているが、多くのシリア難民が、イラクやレバノンといった隣国に流入している。
菅義偉官房長官は2日に行われた記者会見で、シリア難民らへの人道支援に関して「従前以上にしっかり対応したい」と述べている。
シリア難民キャンプの子どもたちを支援するために、総重量100トンに及ぶユニセフ(国連児童基金)の緊急支援物資を積んだ航空機が、9月1日夜、イラク北部のクルド人自治区アルビルに到着した。
イラク国内で避難生活を送るシリア難民は既に20万人を超えており、さらにそのうちの約5万人(その半数は子どもたち)は、直近の僅か2週間半の間に新たに逃れて来た人々だ。
今回空輸された物資には、貯水タンクや水道の蛇口、トイレ、浄水剤と水質検査キット、経口補水塩、緊急保健・衛生キット、乳幼児教育支援キット、レクリエーションキット、文房具や学用品、仮設教室用資材などが含まれている。
空輸の他にも、ユニセフは先週、トルコ・メルシンのユニセフ物資供給センターから5万人分を超える量の衛生キットをトラック12台を使って輸送した。同時にイラクの首都バグダッドからも、4台のトラックを使って様々な緊急支援物資を輸送ししている。
今回輸送した物資は、まだ皮切りに過ぎない。シリアからイラクに逃れて来くる子どもたちやその家族の数は増大を続けている。それを受けてユニセフは、支援規模を大規模に拡大しているところだ。
ユニセフは、クルド自治政府やUNHCRをはじめとする国連諸機関、国際NGOと連携し、引き続き、水と衛生と教育、健康と栄養、そして子どもの保護の分野において、イラク北部クルド自治区の難民キャンプの子どもたちや家族たちに必要な支援を続けていくとしている。
一刻を争うような、このような事態においては、ともかく「迅速な対応」が必要とされる。日本政府が「対応したい」と話す前日に、既にユニセフの緊急支援物資を積んだ飛行機がイラクに到着しているという事実。
「一国とユニセフを比べるのはそもそも無理がある」とあなたは言うかもしれない。しかし、それに甘んじてはいけない。同じ支援物資を送るならば、一刻も早く送ることが、難民の命を一人でも多く助けることになる。また同時にその価値を最大限に活かすことが国際社会中では国益という観点からも必要とされるのである。付け足すと重要なのは、この場合他国の動向は関係がないことだ。(編集担当:久保田雄城)