「金利」を大手銀行が相次いで引き下げ 住宅ローン争奪戦

2013年10月09日 19:08

 来年4月に実施される消費税増税を控えて、住宅の駆け込み需要を狙い、銀行間で住宅ローンを巡って競争が激化している。「金利」を大手銀行が相次いで引き下げたのだ。これまでの住宅ローン金利については、毎月1日に改定されるのが慣例的であったが、この8月は、月の半ばに、改定する銀行が相次いだ。この現象には、銀行業者間でも驚きの目で見ているといった状況だ。

 住宅ローン利用者にとって最大の魅力となっているのが「金利」である。こうした現象は、新興勢力のインターネット銀行や地方銀行も低金利や、利便性を武器に顧客獲得に切り込む。融資を増やしたい金融機関にとって、住宅ローンは、有望な貸出先なのだ。貸し出し拡大の絶好のチャンスと、各金融機関は積極的だ。

 しかし相次ぐ金利引き下げにより、住宅ローンの収益性は、悪化傾向にあり、将来的に、銀行経営の負担になる危うさも懸念されると一部では指摘されている。こうした金利引き下げの先鞭をつけたのが、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友信託銀行の3行だ。次いで、住友銀行、りそな銀行なども固定10年型を0.05~0.2%引き下げた。

 しかし金融機関にとっては、低金利で利幅が薄くなった分、一定水準の収益を確保するためには、貸し出しを増やして、「量」を追わざるを得ない。

 景気回復が進む中、法人税減税で、政府が期待している設備投資が本格化するまでには、まだ相当のタイムラグもあり、ここ当分は、住宅ローンへの注力を続けていかなければならない、といった事情も垣間見える。

 こうした大手銀行間の競争とは別に、”新興勢力”と言われている金融業者も勢いづく。インターネット経由で契約できる、サービスを展開する住信SBIネット銀行などである。この8月下旬で、営業開始から5年11ヵ月で、ローン取り扱い額が、1兆5000億円を突破した。また地方都市では、地銀が地元の開発案件に食い込み、地元需要を囲い込む戦略を実施している。

 住宅金融支援機構による調査では、全国の都市銀行と地方銀行が取り扱う住宅ローンの残高は、平成20年度末に100兆円を突破し、24年度末には、110兆円を超えた。貸し出しに締める住宅ローンのシェアは、年々高まっている傾向だ。(編集担当:犬藤直也)