【今週の展望】アメリカの危機が去れば「昇り龍」になれるか

2013年10月14日 19:04

 日経平均の15000円チャレンジも、先物・値がさ株主導の勢いまかせであっさりタッチするよりも、その直前ではね返されて厳しい試練を与えられたほうがバネが効く。その意味では来週、アメリカの危機が去ってくれれば、重しが取れて一気に15000円を突破する可能性はあると思われる。しかも、突破した後には9月中間期の決算発表をすぐ後に控えている主力株全体の底上げでしっかり地固めができ、さらに上を目指せることだろう。

 10月に入って、消費増税決定がボディブローのようにじわじわと影響し、アメリカの政局の混迷がリスクオフのスイッチを入れて「五輪買い」を手じまいさせ、みずほ<8411>のスキャンダルなどが追い討ちをかけていた日々、日本株はまるでヘビのごとく地を這い回っていた。それでも、アメリカの問題の解決をきっかけに投資家のマインドが「ヘビの気分」から「龍の気分」に切り替われば、株価のヘビも龍に生まれ変わって、天空を駆けて昇っていくようになるはずだ。中国の六朝時代の『述異記』という奇書(大衆小説)には、ヘビは1000年生きないと龍になれないと書いてあるらしいが、投資家の気分が変われば、ヘビだった日本株は東証のアローヘッド上で、1000分の1秒で龍に化けられる。

 もちろん、昇り龍に変身したとしても敵は立ちはだかる。来週一番怖いのは同類の「チャイニーズ・ドラゴン」で、日本が休日の14日と18日は中国の経済指標の発表が相次ぎ香港・上海市場を介して影響を受けそうだ。中国の景況は回復中といわれるが、簡単に腰折れしかねないもろさも秘めるといわれ、敵になるか味方になるか、まだわからない。

 国内は経済指標の発表が少ない谷間の週で、臨時国会の開会で成長戦略がらみのテーマ株物色がにぎわいそうだ。週末から出はじめる主要企業の9月中間期決算発表も好業績への期待のほうが優勢。心配なのはむしろ来週からピークを迎えるアメリカ主要企業の決算のほうだろう。しかしながら、半年前に買建てした制度信用取引の強制決済期限(応当日)が到来することによる反対売買の売り圧力という問題は、11月末頃まではダラダラと続く。そこにネガティブサプライズ、たとえば発表延期になっている4日のアメリカの雇用統計が政府機関の再開で「お待たせしました」といきなり発表され、その数字がかなり悪化していたら、龍に化けたはずの日本株は墜落して地表をのたうつヘビに逆戻りするかもしれない。そういえば「龍頭蛇尾」という言葉もあった。

 ということで、来週の日経平均終値の変動レンジは、アメリカの債務上限問題が解決せずデフォルト回避の緊急措置がとられる場合は11日のSQ値14349円あたりが下限で、連邦政府機関の閉鎖解除も含めて問題が全面的に解決をみた場合には一気に15000円をゴボウ抜きすることもあると想定して、14300~15200円とみる。(編集担当:寺尾淳)