【日経平均】円高一服で値動き安定し156円高で3日続伸

2013年10月10日 20:28

 NYダウは大幅安の時間帯もあったが26ドル高で3日ぶり反発。FRB次期議長にイエレン副議長が正式に指名され改めて好感された。雇用を重視する穏健派で量的緩和縮小は急がないとみられ、市場は安心感を持っている。しかし連邦議会は事態が全く進展しない。10日朝方の為替レートは、ドル円が97円台後半、ユーロ円が131円台後半で、ドルが少しだけ高くなっていた。

 ノーベル化学賞はアメリカ人3人が受賞し藤嶋昭東京理科大学長は受賞を逃した。これで自然科学系3分野の日本人受賞者はなし。文学賞の発表は日本時間で10日午後8時と決まり、ハルキスト全員集合。取引時間前に発表された8月の機械受注統計は前月比5.4%増と3ヵ月ぶりのプラスで市場予測を大幅に上回り、8月の第三次産業活動指数も前月比0.7%増で市場予測を上回った。

 日経平均は59.78円高の14097.62円で始まり、午前9時台は14100円をはさんで上下約30円の幅で変動した後、10時台には14100円台で安定し、ドル円の97円台後半への円安進行、上海市場の国慶節休暇明けの続伸を追い風に上げ幅を拡大した。後場はやや安く始まっても、オバマ大統領が共和党有力議員をホワイトハウスに招くという速報が入って水準を少しずつ切り上げる展開だったが、午後2時台に入ると14185円をピークに下落トレンドに入り14120~14150円圏でもみあう。それでも翌日のマイナーSQ値を意識した買いか大引けにかけて急上昇し、午後3時ジャストに14200円にタッチして終値は156.87円高の14194.71円で3日続伸。TOPIXは+11.05の1177.95で高値引け。売買高は22億株、売買代金は1兆7929億円だった。

 値上がり銘柄は1115で全体の6割以上を占め、値下がり銘柄は496。上昇セクター上位は医薬品、食料品、海運、輸送用機器、精密機器、その他製品など。下位は石油・石炭、ガラス・土石など。下落セクターは非鉄金属、その他金融、銀行、鉄鋼の4業種だった。

 日経平均プラス寄与度1、2位はファナック<6954>とソフトバンク<9984>だが合わせても+20円。マイナス寄与度トップは大引け後に8月期本決算を発表したファーストリテイリング<9983>だが-7円。日経平均225種の約4分の3の170銘柄が上昇して、主力株全体が牽引していた。

 メガバンクにプラス銘柄はなく銀行セクターの騰落率はマイナス。ノンバンクも低調だった。円高が一服したので自動車大手は堅調で、トヨタ<7203>は120円高、ホンダ<7267>は95円高、ナイジェリアでピックアップトラックを現地生産する日産<7201>は25円高、マツダ<7261>は10円高だったが、富士重工<7270>は1円安でひと休み。シャープ<6753>は8円高と持ち直したがソニー<6758>は30円安で反落。日立<6501>、東芝<6502>は安かった。

 9月の東京都心部オフィス空室率が発表され、7.9%と3年10ヵ月ぶりに8%を割り込む好調ぶり。不動産や食品も含めディフェンシブ系が強い1日で、業種別騰落率トップの医薬品は195円高のアステラス製薬<4503>、150円高の武田薬品<4502>、76円高の塩野義製薬<4507>が大きく上昇。大日本住友製薬<4506>は46円高、ジェネリック医薬品の沢井製薬<4555>は270円高だったが、この2銘柄は武田とともに野村證券がこの日に出したセクターレポートで推薦していた。「クレベリン」が好調でこの冬もインフル関連で買われそうな大幸薬品<4574>は9月中間期の営業利益見通しを前期比2.6倍に上方修正して66円高だった。

 「ニコニコ動画」のドワンゴ<3715>が朝から買われ271円高で値上がり率トップになり、9月26日の株式分割後の終値最高値。新興市場ではアフィリエイト広告のアドウェイズ<2489>が218円高で年初来高値を更新し、上場3日目のエナリス<6079>も順調に38円高をつけていた。

 東京個別指導学院<4745>は通期営業利益見通しを上方修正して15円高で値上がり率8位。中期経営計画も評価された。しかしローム<6963>は、自動車やスマホ向け部品が好調で9月中間期の営業利益を100億円に上方修正しても、アナリスト予想の108億円に届かず売り浴びせられ175円安で値下がり率7位になった。靴小売のABCマート<2670>は通期の業績見通しを営業利益12%増、純利益は過去最高の195億円に上方修正し、前場のマイナスから買い直されて105円高。それとはチャートが逆だったのが同業のチヨダ<8185>で、通期の純利益を7%減の66億円に下方修正してマイナス圏に落ち年初来安値を更新し14円安。高島屋<8233>は後場、2月期の通期業績見通しの営業利益を10億円上方修正して買われ24円高。ネット通販のアスクル<2678>は、ゴールドマンサックス証券がレーティングを引き上げて117円高と好調だった。

 日本人がノーベル賞が取れないと手のひらを返して関連銘柄を売り浴びせるマーケットの〃現金ぶり〃をチェックすると、酸化チタン関連ではチタン工業<4098>が39円安で値下がり率1位、テイカ<4027>が18円安で同3位、石原産業<4028>が3円安で同16位、堺化学工業<4078>が7円安、東邦チタニウム<5727>が16円安。ノーベル賞が取れなくても株価が下がっても、学問の業績や技術の価値に変わりはないのだが……。

 この日の注目分野は「工作機械メーカー」。前日大引け後に発表された9月の工作機械受注額速報は前年同月比6.3%減で17ヵ月連続マイナスだったが、海外受注は23.4%減で12ヵ月連続減少でも、国内受注は35.9%増で3ヵ月連続増加。円安による収益改善を背景に国内製造業の設備投資増強が活発化したのに加え、消費増税前の駆け込み需要対応の受注も出てきた模様。日経新聞には、製造業の回帰現象が起きている北米市場で日本の業界各社が増産に動くという記事も出ていた。記事に登場したDMG森精機<6141>は22円高で年初来高値を更新。シチズンマシナリーミヤノの親会社のシチズンHD<7762>は1円高、ヤマザキマザックは非上場。工作機械大手のジェイテクト<6473>は14円高、オークマ<6103>は12円高、ファナックは320円高だったが、アマダ<6113>は8円安だった。昨年まで中国でのスマホの増産で潤った業界だが、来年は国内の駆け込み需要の反動減を、長期スパンの設備投資や北米市場の開拓でどれぐらいカバーできるかが焦点になりそうだ。(編集担当:寺尾淳)