鈴鹿サーキットでF1グランプリの決勝が行われ、仏・ルノーのエンジンを搭載したF1マシンが1着から3着に入って表彰台を独占した翌日、東京でルノーのホットな新型5ドア・ハッチバック(HB)が発表された。その新型車は、お台場で開催された「MOTOR SPORTS JAPAN FESTIVAL 2013」のルノー・ブースでお披露目されたルーテシアR.S.(ルノー・スポール)である。11月14日から全国のルノー販売店で発売される
発表会場には、前日鈴鹿サーキットでロータス・ルノーF1を駆って3位入賞を果たしたF1ドライバーのロマン・グローシャン選手が出席、フェスティバル会場の仮説コースでR.S.のデモ走行を披露した。
新型ルーテシアは新しいデザインコンセプト「サイクル・オブ・ライフ」をキーワードの今年9月に日本デビューを果たした。シンプルながら“官能的”な温かみを表現したというコンパクトなHB車だ。2カ月足らずで、そのラインアップに今回加わったスポーツモデルの「R.S.」は、ルノーF1マシンを連想させるエクステリア&インテリアのディテールが加わった刺激的なモデルである。
基本的なスペックを紹介する。搭載エンジンは1600cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンエンジンをターボで過給。その最高出力は200ps(147kW)/6000rpm。最大トルク24.5kg.m(240Nm)は、何と1750rpmという低回転域から発生し、6000rpm弱まで持続する。先代ルーテシアR.S.の2リッターエンジンに比べて最高出力は同じだが、この25.0Nmも増加した太いトルクがポイントとなる。先代は5750rpmという高回転で最大トルクを発生していた。新型の高いドライバビリティを示すパワースペックである。
トランスミッションはデュアルクラッチ式で、マニュアルミッション・ベースの2ペダルだ。ステアリング・コラムにパドルが備わりドライバーはマニュアルシフト出来る。
走行性能を引き上げるメカニズムとして注目すべきは、ルノー・スポールが特許を持っている電子制御デフ(R.S.デフ)がある。前輪駆動のルーテシアだが、このデファレンシャルギアは駆動輪の回転差を常にモニターしてトラクションが確保できないと判断した場合に前輪のどちらかに僅かにブレーキを掛け前輪のグリップを確保する。これは、ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール:横滑り防止装置)の介入前に作動するため、ドライバーは自然なドライビングのリズムを崩すことがない。つまり、早期に介入するESC作動は「キミは運転に失敗したんだヨ」とクルマに言われたようなもので、時々「こんな早期に介入するなよッ!」と言いたくなる。が、このR.S.デフはESC介入前にさり気なくフォローしてくれるらしい。是非とも試してみたいメカだ。
ルーテシアR.S.には運転者が任意に選べる3つの走行モードを用意する。「ノーマル」「スポーツ」は普通に分かりやすい設定で、「スポーツ」はシフトスピートアップとアイドルアップ、パワーステの操作感も変わる。ところが「レース」モードは過激な設定で、ESCを含む車両安定化電子デバイスがすべてOFFとなる。あくまでサーキット走行などを想定した走行モードである。くれぐれも一般道で試さないことをお勧めする。
新型のラインアップは2種。「R.S.シャシー・カップ」(309.0万円)と「R.S.シャシー・スポール」(299.0万円)。大きな違いは前車に18インチタイヤ&ホイールが装着し、そのホイールから覗くフロントブレーキのキャリパーは刺激的な赤い塗装で存在を主張する。後車は17インチとなる。(編集担当:吉田恒)