自動運転車は本当にクルマを操る楽しみを奪わないのか?

2013年10月20日 17:04

 自動運転車の開発が活発になっている。日産<7201>は2020年までに市販することを公表しているし、米国では、ゼネラルモーターズが、17年を目安に高速道路での自動運転の実用化を目指している。そんな中、トヨタ<7203>は、自動運転技術を利用した、高速道路における次世代の高度運転支援システムAHDA(オートメイテッド ハイウェイ ドライビング アシスト)を開発したと発表した。トヨタは、このシステムの商品化を10年代半ばとしており、ゼネラルモーターズよりも早く、日産に先行する可能性もある。 

 AHDAは、先行車両と無線通信しながら追従走行する「通信利用レーダークルーズコントロール」とすべての車速域で道路の白線などをセンサーで検出し、あらかじめ算出された最適なラインを走行するよう操舵を支援する「レーントレースコントロール(Lane Trace Control)」との連携により、安全運転の支援や運転負荷の軽減を行う。

 「通信利用レーダークルーズコントロール」は先行車との車間距離の検知にミリ波レーダーを使用した従来のレーダークルーズコントロールに対し、次世代ITS技術である車車間通信技術(700MHz帯)も用いて、先行車の加減速情報を利用することで、同時加減速、安定した追従走行など、従来システムに較べ、より精緻に車間距離を制御することが可能になった。また、不必要な加減速を低減することで、燃費向上や渋滞の解消などにも貢献するとしている。

 「レーントレースコントロール」は、自動運転技術を利用した全く新しいシステムで、カメラやミリ波レーダーの高性能化、制御ソフトの高度化などにより、あらかじめ適正な走行ラインを算出。そのラインに沿って走行するよう、ステアリングと駆動力、制動力を、すべての車速域で適切に制御するものだ。

 また、トヨタは、1月に米国ネバダ州で開催された「2013 International CES」に出展した実験車などを活用し、自動運転の研究を通して得られた先端要素技術や知見を利用することで、次世代の高度運転支援システムの早期実用化を推進していくとしている。

 トヨタは、運転の主役であるドライバーの意思を尊重し、クルマを操る楽しみを損なうことなく、安全・安心な移動手段を提供するとしている。確かに自動運転技術の発展が交通事故減少に寄与するのは間違いだろう。しかしながら、操る楽しみを「自動運転」の中でどのように確保していくのだろうか。非常に気になるところである。(編集担当:久保田雄城)