インド最大財閥グループ タタ航空旅客事業に参入

2013年10月24日 17:52

 インドの航空旅客市場は、人口増に伴う潜在的な成長産業と言える。IATA(国際航空運送協会)の予測では、インドの国内航空の利用者数が、現在の3倍の4億5000万人としている。

 こうした背景になっているのは、インド最大の財閥系タタ・グループが、このほど航空旅客事業に本格的に参入することが明らかになったため。タタは、9月にシンガポール航空と、首本金1億ドル(約98億円)の合弁会社を設立すると発表したばかり。この会社は、タタが51%、残りをシンガポール航空が出資する。インド当局の審査が終わり次第、年明けには就航する見通しだ。

 そしてマレーシアの格安航空会社(LCC)大手エア・インドとの合弁で、運営する。LCCも早ければ、年明けに国内運行を開始する予定だ。3年以内に50機保有を目指す。

 インドのタタ・グループは、1868年創立のインド最大財閥で、100社に及ぶ傘下企業を抱え、グループの時価総額は6兆ルピー(約9兆6000億円)。傘下にあるのは、大手タタ自動車、鉄鋼大手タタ製鉄、IT大手タタコンサルタンシー―サービシズなどを保有する。イギリス自動車ブランド「ジャガー」など買収したことでも世界的に有名な財閥グループだ。

 あらゆる産業で、世界戦略を目指しているタタが、ここにきて航空旅客事業に本格参入することは、世界の航空買いが注目している。

 しかしインドの航空旅客市場の成長には、課題が多いのは確か。一つは、空港などのインフラ整備が遅れていることがあげられる。インド国内には、約130の空港があるが、大半の空港が旅客場に対応できる体制になっていないとIATAは指摘する。インド政府はこのためムンバイなどの主要都市の空港の拡張を進めているが、周辺の道路や商業施設などの整備が遅れがちだとしている。

 また今回のタタの参入でインド政府は、国際線運航に関連した規制緩和を検討しているようだ。(編集担当:犬藤直也)