1980年代、赤字経営に喘いでいた富士重工業を救ったのは1989年にデビューしたレガシィ、なかでも「ツーリングワゴン」と呼称したスポーティで高性能なステーションワゴンが主役だった。
そのレガシィは現在、北米を主たるマーケットとしてモデル設計されて大型化し、そのディメンションはメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズを凌ぐほど大型化した。
こうした例はレガシィだけではない。レガシィ人気に便乗してステーションワゴンをラインアップに加えたホンダ・アコードやマツダ・アテンザ、トヨタ・カムリなども同様に大型化している。このサイズアップは欧米などのグローバルな市場を狙うための必然と言えるのだ。が、日本、なかでも東京などで使うには取り回し性の悪さが難点となりがちだ。実際に1995年当時に国内で年間9万台ほどの販売実績があったレガシィ・ツーリングワゴンは、2012年に2万4000台ほどにまで落ち込んでいる。2代目?4代目のレガシィ・ワゴンを所有して、その絶大なパワーとトラクション能力、ハンドリング性能の高さに魅了されながら、「現行モデルはデカ過ぎる」として手が出せないユーザーは多い。かといって、インプレッサ・スポーツでは、クラス感やパワー&トルク感、質感で「物足りない」と感じるのも事実だ。
もちろん、レガシィの大型化だけが低迷の理由ではあるまい。1990年代にレガシィが牽引したステーションワゴンの“ブームが冷めた”だけという見方もできる。とかく日本市場はクルマに限らず、ブームに乗るのも早いが冷めるのも早い。このあたりが、欧米で連綿と続く「ステーションワゴンを所有する豊かさ」と日本は無縁なのかもしれない。そして、そのレガシィ・ツーリングワゴンが2014年に廃版となることが決まったようだ。ただし、北米で人気モデルである車高が高くSUVライクなアウトバックは存続するという。
代わりに登場するのは、「スポーツカーやステーションワゴンというカテゴリーを超えた新型スポーツツアラー」をコンセプトに、11月20日(一般公開は23日)から開幕する東京モーターショー(TMS)でワールドプレミアとなるレヴォーグ(LEVORG)・スポーツツアラーだ。スバルの専用サイトで写真のようなイメージカットが公開されている。スタイリッシュなスポーツカーをイメージするスタイリングにツーリングカーとしてのユーティリティを兼ね備えたモデルだという。パワーユニットは新開発1.6リッター水平対向DOHC直噴ターボで、駆動方式はスバル自慢のシンメトリーAWD(4WD)を採用する。気持ちの良い走りと環境性能を両立しながら、次世代の「アイサイト」の搭載、新たに「操舵支援」などの安全装備も加わるという。現行モデルが「デカ過ぎる」と感じているツーリングワゴン・ユーザーはTMSのスバル・ブースに注目だ。(編集担当:吉田恒)