自民党の中谷元特命副幹事長は3日のNHK番組で安全保障上「装備や暗号など特定秘密で保護していくべきものがある」とし、漏えいした公務員への刑罰を現行(最高懲役1年)より大幅に重くする「10年は適当」と、秘密保護をより確実に担保するために適正な刑との考えを示した。
また、中谷特命副幹事長は「国民の命を守る、国家の安全を守るためには機密はどうしても必要になる。新聞やテレビが取材源を明らかにできないというのと同じように、国家として安全を維持するためにどうしても保護が必要な情報がある。アルジェリアで邦人拘束事件があった際にも、フランスやイギリスなどから軍の情報を頂くことが必要だった。情報を預かった以上、これは漏らすことはできない。アメリカからの情報でもこれだけはしっかり守ってくれといわれる情報がある。日本として、今以上にしっかりした情報保護態勢をとる必要がある」と強調した。
公明党の上田勇外交安全保障調査会長は「外交や安全保障の問題については(中谷氏と)同じ思いだ。今も特別管理秘密という制度は政府内にあるが、今度のものは、それより狭い概念なのだが、指定のあり方、管理のあり方を明確にしようというもの。(海外との情報共有のなかで、保全のための)ルールは必要だと考えている」とした。
民主党の大島敦政調会長代行は「特定秘密保護法案の前に、情報公開のあり方、国民の知る権利について、しっかり規定することが必要だ」としたうえで「何が特定秘密かの基準を決めるのも政府であり、特定秘密に指定するのも政府、特定秘密を取り扱う人についても政府が決める。さらにいつ公開するのかも政府が決めるなど、すべて政府が決めることになっている」と同法案の危険性を指摘。「第3者の関与、国会の関与が必要だ」と主張した。
日本維新の会の山田宏国会議員団筆頭副幹事長は「今の法案のままでは駄目(賛成できない)。政府が指定する特定秘密の範囲が今のままではかなり幅広い。限定列記が必要。防衛にかかわるものに限定すべき」とした。また、「政府によって恣意的に特定秘密に指定される危険がある」として「第3者機関で何らかのチェックが必要だ」と恣意的指定を排除するための制度的な機関の設置を求めた。みんなの党の畠中光成副幹事長は「じっくり審議が必要」と時間をかけて審議するよう求めた。
日本共産党の赤嶺政賢安全保障部会長は「国民の目と耳と口を塞ぐもので、戦前の軍機保護法の再来ともいうべきもの」と批判。「廃案に全力を尽くす」とした。軍機保護法は明治32年に公布され、昭和12年の全面改正で対象範囲が大幅拡大され、軍事機密を保護するためとして陸海軍大臣が定めた軍事上の秘密について漏えい、収集などに死刑を含めた罰則があった。気象情報も重要とされ、太平洋戦争開戦時からラジオ、新聞で報じられなくなり、この異常な状態が終戦まで続いたという。
生活の党の小宮山泰子国対委員長は「国民の知る権利が確保できないので、はっきり反対を表明している。法案の条項で『そのほか重要な情報』という大変あいまいな表現がどこの条項にも紛れ込んでいる」と、国民に知られたくない情報について、時の政府が恣意的に指定する危険があるとした。
社会民主党の照屋寛徳国対委員長は「憲法が保障する国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という3原則を破壊する最たる法案だ。また、日米軍事一体化が急速に進む中で、情報統制国家、軍事国家、秘密国家になる恐れがある」と法案に真っ向反対した。(編集担当:森高龍二)