GM、オーストラリアでの生産撤退を決定

2013年12月15日 12:02

 米ゼネラル・モーターズ(GM)は、オーストラリアにおける自動車・エンジンの製造事業から撤退することを発表した。この米ゼネラル・モーターズの撤退により、オーストラリアで生産を行う自動車メーカーは、トヨタ自動車<7203>1社のみとなった。トヨタ自動車はサプライヤーや政府などと連携しつつ、今後の対応を検討するとしている。

 米ゼネラル・モーターズは、オーストラリアの子会社GMホールデンのサウスオーストラリア州、ビクトリア州の工場を閉鎖させ、2017年末までに撤退を完了させる予定だ。この撤退により2900人もの従業員の雇用に影響が及ぶ模様だ。

 米ゼネラル・モーターズのアカーソン会長兼最高経営責任者(CEO)は、今回のオーストラリアでの生産撤退に関して「持続的な豪ドル高、そして高い生産コスト、さらには小さい国内市場などが要因」とコメントしている。

 一部では、この米ゼネラル・モーターズの撤退を受け、トヨタ自動車も撤退を行うのではないかとの推測もなされている。しかしトヨタ自動車の日本の広報担当者は撤退に関して「今のところ、そういった予定はない」としている。しかし、米ゼネラル・モーターズの撤退決定は地場のサプライヤーやトヨタ自動車の生産体制に「かつてない圧力となるはず」との指摘もある。
 
 トヨタ自動車がオーストラリアで生産を開始したのは1963年のこと。07年には15万台近い台数を生産したものの、12年の生産台数は10万1000台にとどまっている。

 オーストラリアでは自動車産業の生産撤退が連続して起こっており、今年の5月には米フォードが、オーストラリアにある2つの部品工場を16年の10月に閉鎖すると発表している。三菱自動車<7211>も08年にオーストラリアから撤退しており、もし今回、米ゼネラル・モーターズの撤退に引き続いてトヨタ自動車も撤退を行うようなことになれば、国内で生産を行う自動車メーカーはなくなり、オーストラリアの自動車産業は崩壊状態となる。

 オーストラリアでの、年間新車販売台数は、約110万台。そのうち国内で生産された車のシェアは4分の1程度である。(編集担当:滝川幸平)