【日経平均】忘れたはずの劇症メジャーSQを経て61円高

2013年12月13日 20:45

 12日のNYダウは日経平均と同じく3日続落。新規失業保険申請件数は悪化したが11月の小売売上高が0.7%増で、「客足は良くても客単価頭打ち」と言われたクリスマス商戦も序盤まずまずの出足。量的緩和を縮小できる条件がまた加わり、長期金利の上昇ともあいまって株価を下げた。その金利上昇がドル高を招き、13日朝方の為替レートはドル円が103円台半ば、ユーロ円は142円台前半で、どちらも前日比で約1円の円安に振れた。

 メジャーSQの日の日経平均は24.93円安の15316.89円の続落スタートだがマイナスは15秒だけ。すぐプラスに変わり2分後15400円にタッチ。算出直前に低めのSQ値に誘導する〃工作〃は成功し、午前9時5分に出たSQ推計値は15303.19円で「まぼろしのSQ」にリーチをかける。その後はTOPIXをマイナスに置いて、為替と先物に翻弄されて前日終値と15400円の間を行ったり来たりと振らされるが、午前10時を回るといきなり急落。始値もSQ値も15300円もアッと言う間に割り込み、13日の金曜日の先物売りのチェーンソーが「SQまぼろし化工作」を無残に切り裂いて15251円でやっと下げ止まった。「トイレに行っている間に100円動く」と言われた数年前のメジャーSQの日の朝が復活したかのようで、裁定買い残積み上がりのツケが一気に回ってきた。

 〃劇症発作〃がおさまるとSQ推計値15303円近辺でようやく安定。10時30分頃から再び上昇してプラスに浮上し15400円にもタッチする。その後はパタッと値が動かなくなり15404円で前引け。TOPIXが前場ずっとマイナスだったのはSQらしい。

 後場はTOPIXもプラスに変わり、日経平均も高く始まって15500円にタッチ。ドル円が103円80銭を突破し5月23日の水準を超え年初来高値を更新しても、上海市場の軟調、来週のFOMC待ちのムードもあり15500円を超えて上値を追わない。午後1時30分に10月の鉱工業生産指数確報値が発表され、速報値を0.5ポイント上回る1.0%の上昇で1時39分に15532円の高値をつけたが、すぐ15500円をはさんだ小動きに戻る。大引け前はマイナスに沈んだTOPIXに足を引っ張られ約30分で100円近く下落し、61.29円高の15403.11円で4日ぶりに反発し2勝3敗、前週末から173.25円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅281円が朝の激動を物語る。TOPIXは-3.35の1238.88で3日続落。売買高35億株、売買代金3兆7488億円で、久々にメジャーSQらしいメジャーSQだった。

 東証1部の値上がり銘柄は495。値下がり銘柄は1145で64.6%を占め実質的には下落の日。業種別騰落率も12対21でマイナス優勢。プラス上位はゴム製品、非鉄金属、食料品、証券、輸送用機器、パルプ・紙など。マイナス下位は電気・ガス、石油・石炭、情報・通信、倉庫、建設、卸売などだった。

 日経平均採用225種のほうは値上がり102銘柄、値下がり106銘柄とほぼ拮抗。プラス寄与度1、2位は900円高で売買代金3位のファーストリテイリング<9983>と230円高で売買代金6位のファナック<6954>で合計+44円。マイナス寄与度1、2位は110円安で売買代金9位のKDDI<9433>と60円安で売買代金1位のソフトバンク<9984>で合計-15円。「日経平均寄与度四天王」が日経平均寄与度と売買代金ランキング上位に顔を揃えるのもメジャーSQならでは。

 前日と同様メガバンクでは三井住友FG<8316>だけプラスで10円高。証券は野村HD<8604>は1円安でも大和証券G<8601>が12円高など全体的に堅調で業種別騰落率4位。ドル円が年初来高値を更新する円安進行でも株価4ケタのトヨタ<7203>とホンダ<7267>はたった10円高。しかし株価3ケタのマツダ<7261>は同じ10円高でも上昇率が2.07%と大きく、年初来高値を更新して売買高3位、売買代金8位だった。

 前日の悪役、日東電工<6988>は反発しても35円高では全然罪滅ぼしにならず。アサヒGHD<2502>は「ドライプレミアム」でプレミアムビール本格参入が好感され73円高で年初来高値を更新した。ジェネリック医薬品の日医工<4541>と沢井製薬<4555>が合計500億円を投資して生活習慣病の大型後発薬を開発と報じられたが、増資で嫌気されている日医工は20円安、沢井製薬は10円高と反応が分かれた。この分野は来年から大手製薬メーカーに特許切れが相次ぐのでチャンスになる。

 値上がり率1位はネットプロバイダーのネクシィーズ<4346>でストップ高の100円高で年初来高値更新。同2位のグループウェアのサイボウズ<4776>は自社株買いへの好感が続き6600円高でこれも年初来高値を更新した。求人サイトのリブセンス<6054>は1株を2株に分割する株式分割を発表して95円高。しかしミクシィ<2121>はこの日もストップ安で、制限値幅が変わり1000円安。9日は132万株が売買されたが直近3日間では27万株しか売買が成立せず、まともに取引できない銘柄になっている。

 前日に観光庁が訪日外国人数を発表し、11月までの累計が950万人で年間1000万人突破が確実になった。大きな要因は円安だが、それは日本人の海外旅行には逆にデメリットで、エイチ・アイ・エス<9603>が2時に発表した10月期本決算は純利益5%減で市場予測を下回り、プラス圏から急落し-7.50%の420円安で値下がり率1位。売上高は過去最高でも、アジアからの観光客に人気の観光地ハウステンボスの貢献によるもの。

 新規IPOは1件。建築物の断熱用吹付け硬質ウレタンフォームの販売・施工を行う日本アクア<1429>は9時46分、公開価格1650円に対し2061円の初値がついた。これで「公開価格<初値」は47連勝だが、9件もある来週は正念場になりそうだ。

 この日の主役は「朝鮮半島」。エイチーム<3662>は前日に第1四半期決算を発表。営業利益は71%減でスマホ向けゲーム開発の人件費負担が増え内容は必ずしも良くないが、ゲーム王国、韓国のオンラインゲーム大手NHNとの資本提携でLINE向けゲーム開発に「コリアンパワー」が注入される好感度は絶大で810円高で値上がり率3位、売買代金13位。ストップ高は今週5日連続で、その間に株価は2.6倍になり「特攻野郎」エイチームの怒濤の進撃は止まらない。

 同じコリアンでも軍事境界線の北の凍土の共和国は朝、若き三代目がナンバー2の張成沢氏を無残に処刑したニュースが伝えられ、軍部の勢力拡大でミリタリーのほうのパワーの増長が懸念されて東京では防衛関連銘柄が買いを集めた。石川製作所<6208>は4円高、新明和工業<7224>は21円高、航空電子<6807>は55円高で年初来高値を更新し値上がり率14位。「無慈悲な鉄槌を下す」などとまた言い出したら、再び買われそうだ。