17日、日本銀行は過去に金融機関から買い入れた株式に関して、市場への予期せぬ影響を避けるために売却を行わない期限を2年間延長させ、2016年3月末までとすると発表した。これは、量的・質的金融緩和を実施する中、日本銀行が株式を売却すれば市場に悪影響が出ると判断したことによる。この発表により、16年4月1日からは売却が可能となる。また売却を完了する期限に関しても、21年9月末まで2年間延長することが決定された。
これまでは、14年3月末まで原則として株式の売却を行わないとしてきたが、内外の金融資本市場の動向などを鑑みた結果、その考えを見直した模様。また、売却完了時期に関しても、同様の売却期間を確保するという観点から考えて、やはり期限を2年間延長した。
今回の株式の売却延期は、17日に開催された政策委員会にて決定した。日銀法の規定に基づき、ただちに財務相および金融庁長官に認可申請が行われる。日本銀行が金融機関から買い入れて保有する株式残高は、11月末の時点で1兆3600億円になる。
日本銀行は02年11月から04年9月にかけて、また09年2月から10年4月にかけて、合計2回に渡って金融システムの安定確保を目的とする異例措置として、金融機関が保有する株式の買い入れを行った。その株式の買い入れ金額の合計は簿価で2兆4000億円程度であり、これまで07年10月から08年10月にかけて株式の売却を行うものの、リーマン・ショックを受けて売却を停止。そして発行企業の自社株買い入れなどに対応した結果、13年9月末の時点での残高は、1兆3566億円となっている。
金融機関から買い入れを行った株式について、13年3月末までは市場での売却は行わず、17年9月末までに処分を行うとの方針だったが、今回の決定によりそれぞれの期限が2年間延長。その理由については「足元の内外金融資本市場の状況などを踏まえ、市場への不測の影響を回避することが適当と判断した」としている。
12年1月にも日本銀行は、保有株売却再開を2年間延期することを決めている。(編集担当:滝川幸平)