自動車販売という側面でみると日本市場は世界で特異なマーケットなのかも知れない。日本国内の30位までの乗用車ランキングを毎月発表している日本自動車販売協会連合会(自販連)のデータを見ると、2013年1-12月期累計で純粋なセダンとしてランクインしているのは、トヨタ・クラウン(マジェスタ含む)だけだ。台数にして8万2701台、総合9位である。10万1664台を登録して5位にカローラがいるが、7割以上がステーションワゴンのフィールダーだろう。29位にランクインするマツダ・アテンザ(2万2371台)もステーションワゴンが半数と思われる。
日本のマーケットは「セダンを必要としない市場」なのだ。しかし、インポートカーブランドのメルセデス・ベンツは同期間に5万3731台(JAIA調べ)、BMWは4万6037台(同)を販売、ほぼ7割以上がセダンだと思われる。
そんな「セダン受難市場」に、日産が新型セダンを投入した。ミドルクラスのFFセダン「TEANA(ティアナ)」である。
新型のボディサイズは全長×全幅×全高4880×1830×1470mm、ホイールベース2775mm。堂々たる体躯の持ち主だが、車両重量は比較的軽く1460-1470kg。搭載するエンジンは改良型QR25エンジンの2.5リッター直列4気筒DOHCで、その最高出力173ps(127kW)/6000rpm、最大トルク23.9kg.m(234Nm)/4000rpm。組み合わせるトランスミッションはマニュアルモード付きエクストロニックCVTだ。エンジンとCVTの協調制御によってスムーズな発進と力強い中低速トルクによる気持ちの良い加速感を得たという。エクストロニックCVTではギア比の適正化を図って、加速性能と燃費性能の両立を実現。JC08モード燃費で14.4km/リッターとし、全グレードで平成27年度燃費基準を達成した。
新たに開発したリア・マルチリンクサスの採用で、応答性と安定性を高次元で両立。さらに、アクティブトレースコントロールの採用によりコーナリング時の操舵性が上がり、修正操舵が少ないドライビングを実現したという。
3代目となる新型のデザインは厭味の無いノーブルなもの。初代から好印象だったインテリアの質感・広がり感は、質感をアップさせながら継承する。
新型は日本市場よりも重要なマーケットである北米では「日産アルティマ」として販売する中核セダン。ライバルはホンダ・アコード、トヨタ・カムリなど、いずれも強力な布陣であり、欧米勢もひしめいているボリュームゾーンだ。ここを制したモデルが北米ナンバーワンとなる。(編集担当:吉田恒)