12日、大手携帯電話通信事業者ソフトバンク<9984>は2013年4~12月期の連結決算(国際会計基準)を発表。それによれば、純利益は前年同期比58%アップの、4882億円であったことが分かった。これは4~12月期としては2年ぶりの過去最高益となる結果であり、またNTTドコモ<9437>に対して500億円以上の差を開き、日本の携帯通信会社の中で利益額トップとなった。
こうして利益額トップとなった要因として、米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を中心に契約数が増え、それにより通信料収入が増加したことなどが挙げられる。また積極的な買収も収益を押し上げる形となったようだ。
売上高は94%アップの4兆5617億円。アメリカ携帯大手のスプリント買収によって、増収幅が大きくなった。また営業利益は46%アップの9242億円であった。ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>やウィルコムなどの子会社株の評価益もまた、利益を押し上げる要因となった。
14年3月期通期に関しては、営業利益1兆円以上を予想しているようで、8400億円と予想しているNTTドコモを、初めて上回る可能性が高い。
現在のソフトバンクは、国内市場の縮小を見据えた上で、海外進出を積極的に行っている。去年は約1兆8500億円を投じて、アメリカ大手携帯3位のスプリントの株80%を取得し、これ以外にも携帯端末の卸売事業者である米ブライトスターや、フィンランドのモバイルゲーム会社スーパーセルの買収などを行ってきた。
そして11日にアメリカで発表されたスプリントの10~12月決算は、純損益10億4000万ドル(1株あたり26セント)の赤字となったものの、その赤字幅は前年と比べて小さなものとなった。
NTTドコモは去年9月から米アップルの「iPhone」の販売を開始したことにより、12月の純増数は2年ぶりに首位に返り咲いたものの、1月の純増数では再びソフトバンクに首位を奪われている。またソフトバンクは4月に、音声とデータ通信が一定条件のもと定額になるサービスを開始される予定で、これがソフトバンクの収益をさらに拡大させる結果となるのかどうか、その動向が注目されている。(編集担当:滝川幸平)